コールセンター業務の課題は、オペレーターによる対応品質の違いや、スタッフが負担する業務量の大きさなど実にさまざまです。
音声解析ソフトやサービスの導入により、課題を解決できる可能性があります。
とはいえ、音声解析ソフトやサービスを選ぶにしても、何を基準にすればいいか悩む企業の方は多いでしょう。
そこで本記事では、コールセンター業務の効率化に役立つ、音声解析ソフト・サービスのおすすめ13選や選び方を紹介します。
この記事の内容
音声解析とは?
音声解析とは、通話内容を分析し管理者が対応品質をチェックしやすくするシステムです。
これまでは、管理者がオペレーターの対応品質をチェックしていましたが、手間と時間がかかるため、全ての状況を把握しづらい傾向がありました。
WindowsやMacにも、音声認識機能が標準搭載されていますが、機能が限られます。
そこで音声解析を導入すれば、管理者は全体の状況を把握しやすくなり、分析結果を課題の把握に活かせるでしょう。
オペレーターによって対応品質が異なるといった課題も、音声解析の導入によって一定の品質に保てるのも利点です。
コールセンターに音声解析の導入で期待できる効果
それでは、コールセンターに音声解析の導入で期待できる効果について解説していきます。
- 業務効率化を図れる
- サービス品質の改良ができる
- クレーム削減につながる
- オペレーターのサポート体制を強化できる
- VOC分析で顧客満足度の向上を図れる
業務効率化を図れる
コールセンターに音声解析を導入すれば、業務効率化を図れます。
従来は、管理者が録音した通話内容を再生し一つずつ確認していたため、手間と時間がかかっていました。そこで音声解析なら、通話内容をテキスト化できるので、確認業務にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。
従来のように録音を聞きながら議事録を作成する手間も省けますし、通話内容の要点も把握しやすくなります。
サービス品質の改良ができる
音声解析は、サービス品質の改良効果が期待できます。
サービスを向上させるためにマニュアルを作成しても、オペレーターごとにスキルの違いがある以上、全てのオペレーターに合わせるのが難しい課題がありました。
音声解析は、蓄積したデータをAIが分析しマニュアルに反映させられるので、あらゆるオペレーターに合わせたマニュアルの作成が可能です。
品質の担保がしっかりと行えるようになり、安定したサービス提供ができるでしょう。
クレーム削減につながる
コールセンターに音声解析を導入すれば、クレーム削減につながります。
コールセンターでは、クレームにも対応しなければなりません。高いスキルを持つオペレーターなら、クレームにも柔軟に対応しトラブルを回避できるでしょう。
こうしたケースをテキスト化しオペレーターが共有すれば、適切な対応につながり、クレームの鎮火につながります。
オペレーターのサポート体制を強化できる
音声解析の導入により、オペレーターのサポート体制を強化できます。
通話内容を録音し後で確認する方法では、問題が生じたとき管理者がすぐに対応できません。
音声解析はAIが音声を解析しているため、管理者はリアルタイムで問題を把握できます。
管理者は顧客に聞こえないように、即座にささやき指示を出したり、自らが対応したりもできるので、オペレーター側の安心感にもつながるでしょう。
VOC分析で顧客満足度の向上を図れる
音声解析は、VOC分析で顧客満足度の向上を図れます。
データ量が増えるほど本格的なVOC分析が可能になりますが、データ量が膨大でもAIなら顧客傾向を即座に分析できるのが利点です。
VOC分析結果を元に、問題点や改善すべき課題も見えてくるため、経営戦略の策定にも役立つでしょう。
音声解析ソフトを選ぶ6つのポイント
では次に、音声解析ソフトを選ぶ6つのポイントを紹介します。
- 導入コストが自社の予算感にマッチしているか
- 登録言語数が充実しているか
- 声の事前登録が必要であるか
- 業務形態に適した機能が搭載されているか
- 既存システムとの連携が可能であるか
- サポート体制は万全か
導入コストが自社の予算感にマッチしているか
音声解析ソフトを選ぶ際は、導入コストが自社の予算感にマッチしているかを確認しましょう。
無料で試せる音声解析ソフトなら気軽に試せますが、使える機能が限られる場合があります。
有料なら機能は充実していますが、使いこなせない機能は無駄なコストがかかります。
無料と有料はそれぞれに良し悪しがあるので、自社の予算感にマッチしているものを選んでください。
無料ソフトから試して、必要に応じて有料ソフトに切り替えるのも選択肢の一つです。
登録言語数が充実しているか
音声解析ソフトは、登録言語数が充実したシステムを選びましょう。
通話内容をテキスト化する際、登録した言語から音声に近いものを選び変換します。登録言語数が少なければ、適切に変換されません。
例えば、登録言語数が100万語以上なら、多様な変換が可能になります。なお、業界特有の言語を使う場合は、業界専門用語や固有名詞に対応しているかも確認してください。
声の事前登録が必要であるか
音声解析ソフトは、声の事前登録が必要であることを確認しましょう。
声の事前登録が必須な場合は、話者の声を登録しないと認識されません。中には声の事前登録不要のものもありますが、制度が低い可能性があります。
声の事前登録が必要なタイプなら、高精度でテキスト化できるでしょう。
業務形態に適した機能が搭載されているか
音声解析ソフトは、業務形態に適した機能が搭載されているかを確認してください。
さまざまな種類の音声解析ソフトがありますが、搭載されている機能はそれぞれに異なります。
あると便利な機能は以下の通りです。
- 辞書登録機能:登録言語数が増え精度が上がる
- カスタム登録機能:辞書に記載されていない語彙に対応できる
- 自動学習機能:使うほどに精度が上がる
- 自動文字起こし機能:社内での情報共有に役立つ
- Bluetooth対応:コードの煩わしさがない
- 翻訳機能:外国語にも対応できる
上記を参考に、自社の業務形態に適した機能を搭載したものを選びましょう。
既存システムとの連携が可能であるか
音声解析ソフトだけでなく、既存システムも併用する場合、連携可能かも確認しましょう。
例えば、顧客管理システムを導入しているなら、音声解析ソフトとの連携により着信時即座に顧客情報を把握できます。
サポート体制は万全か
音声解析ソフトを導入しても、すぐに使いこなせるとは限りません。
もし、ソフトの不具合やトラブルが発生した場合、すぐに対処できなければ業務に支障が出る恐れがあります。
何かあった場合は、すぐに対応してもらえるか、サポート体制が万全かを確認してください。
コールセンター向け音声解析ソフト・サービス13選
それでは、コールセンター向け音声解析ソフト・サービス13選を紹介していきます。
- BIZTEL
- Omnis
- AI Messenger Voicebot
- COTOHA Voice Insight
- transpeech
- ロボット自動受付
- Zendesk for service
- VoiceRep スマート議事録forテレワーク
- TRAINA VOICEダイジェスト
- AmiVoice
- ベルシステム24
- KARAKURI
- sAI Search
BIZTEL
運営会社 | 株式会社リンク |
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主な機能 | 全通話録音 コールキューイング(待ち呼) モニタリング・ささやき コールセンター管理 稼働状況モニタリング 統計レポート ソフトフォンなど |
システム連携 | CRM連携(CTI連携/SFA・MA連携) |
料金(税込) | 座席課金:初期費用55,000円/席・月間利用料16,500円 ライト:初期費用220,000円・月間利用料89,100円 スタンダード30:初期費用935,000円・月間利用料154,000円 スタンダード50:初期費用495,000円・月間利用料385,000円 スタンダード70:初期費用1,375,000円・月間利用料550,000円 スタンダード90:初期費用1,815,000円・月間利用料715,000円 スタンダード110:初期費用2,255,000円・月間利用料880,000円 スタンダード130初期費用2,695,000円・月間利用料1,045,000円 |
デモ体験 | ◯(要問い合わせ) |
BIZTELは、導入社数2,000社以上、稼働席数40,000席以上の導入実績があるクラウド型サービスです。
独自開発と安定したインフラによる高品質サービスを、24時間365日提供。音声解析をはじめとして、コールセンター業務に役立つ多彩な機能を搭載しているのも魅力です。
電話がなくてもパソコン上で電話機能が使える「ソフトフォン機能」や、管理者による「モニタリング・ささやき機能」も搭載されています。
Omnis
運営会社 | 丸紅情報システムズ株式会社 |
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主な機能 | 音声認識 文章要約 感情分析 分析 AI FAQ 音声認識IVR |
システム連携 | 各種クラウドCTIとの連携 |
料金(税込) | (要問い合わせ) |
デモ体験 | – |
Omnisは、GoogleCloudの機械学習機能を利用した、コールセンター向けテキスト化サービスです。
設備不要の従量課金制のため、低コストで運営できます。
要約や感情分析、FAQなどを標準搭載しており、Googleの音声認識機能を使用してオプションの組み合わせも可能です。
Googleのセキュリティを享受できるため、セキュリティ面にも配慮されています。
AI Messenger Voicebot
運営会社 | 株式会社AI Shift |
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主な機能 | カスタム音声合成 FAQ検索機能 ヒアリング機能 割り込み通話機能 オペレーター転送 プッシュ操作 予約枠の代替案提示 アウトバウンド機能 |
システム連携 | Salesforce zendesk slack twilio 個別DBなど |
料金 | 初期費用50万円~ 月額費用30万円~ |
デモ体験 | デモ体験 ◯(要問い合わせ) |
AI Messenger Voicebotは、電話対応業務をサポートするボイスボットサービスです。
専属のAIチームや産学との連携など、AI技術の研究実績や、200社以上の導入実績に基づき、プロが導入前から導入後までワンストップでサポートします。
AI Messenger Voicebotで電話番号を発行するため、既存の電話機やコールセンターシステムとの連携は必要ありません。
COTOHA Voice Insight
運営会社 | エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 |
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主な機能 | 音声マイニングプラン テキスト化 学習機能 感情認識 対応分析 要約機能など |
システム連携 | NTTドコモの通話録音サービス |
料金 | 要問い合わせ |
デモ体験 | – |
COTOHA Voice Insightは、AIによる音声認識で通話内容を可視化するサービスです。
NTT研究所で40年以上もの歳月をかけ研究・開発した、独自エンジンの音声認識AIがデータを可視化します。
コールセンター向けプランと、NTTドコモの音声通話を可視化するビジネス通話プランから選べるのもポイントです。
transpeech
運営会社 | トランスコスモス株式会社 |
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主な機能 | 音声認識 品質管理 感情分析 要約機能など |
システム連携 | トランスコスモス独自システム |
料金( | 要問い合わせ |
デモ体験 | – |
transpeechは、コールセンターにおける課題をサポートするために開発された、音声認識ソリューションです。
アドバンスト・メディア社の音声認識ソフト「AmiVoice」に、トランスコスモス社独自の機能を追加し、2018年にリリースされました。
クオリティコントロール・リスクマネジメント・コストセービングを主軸に、コールセンター業務をサポートします。
2020年10月には、transpeech2.0がリリースされ、より使い勝手が向上しているのも注目したいポイントです。
ロボット自動受付
運営会社 | 株式会社電話放送局 |
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主な機能 | 発話入力 固有ワードをチューニング 受付内容をSMSで送信 マイページ機能 |
システム連携 | API連携/DB連携(オプション) |
料金 | 初期費用800,000円~ 月額費用350,000円~ ※月間2,000件までの着信、月間2,000通までのSMS送信を含む ※2,001件目からは15円/通の従量課金 |
デモ体験 | ◯(要問い合わせ) |
ロボット自動受付は、コールセンターの受電業務を半自動化・完全自動化するサービスです。
従来のプッシュ操作では対応が難しかったコールを、音声認識を活用し対話型IVRで実現しました。
レシート機能により、受付内容をSMSで送信し可視化します。オプションを追加すれば、音声合成や転送、API連携やDB連携も可能です。
発話で受付した場合の聞き起こしがほぼ不要となるので、業務効率化を図れるでしょう。
Zendesk for service
運営会社 | Zendesk |
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主な機能 | 問い合わせの一元管理 自動振り分け機能 分析・サポート機能 顧客情報管理機能など |
システム連携 | API連携 |
料金(税込) | Basicプラン:月額19ドル(約2,612円) Suite Teamプラン:月額55ドル(約7,564円) Suite Growthプラン:月額89ドル(約12,241円) Suite Professional月額115ドル(約15,817円) Suite Enterprise:要問い合わせ |
デモ体験 | ◯(要問い合わせ) |
Zendesk for serviceは、クラウド型コールセンターソフトウェアです。
通話以外にも、ボイスメールやメール、チャットやSNSまで、全ての会話を一元管理できます。
顧客がモバイルやWebを利用する際は、気軽に電話をかけられるよう、通話ボタンの埋め込みが可能。既存のコールセンターシステムとの統合や、Zendeskマーケットプレイスのアプリを使ったカスタマイズもできます。
クラウド型は、短時間でコールセンターを構築できるのも注目したいポイントでしょう。
VoiceRep スマート議事録forテレワーク
運営会社 | 株式会社リオ |
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主な機能 | 自動テキスト化 句読点挿入 読み上げ 数値表記の自動変換など |
システム連携 | – |
料金(税込) | 9,680円 |
デモ体験 | 体験版あり |
VoiceRep スマート議事録forテレワークは、テレビ会議の議事録を簡単に作成できるソフトです。
認識結果を編集する際に便利な、句読点自動挿入や改行機能を搭載。事前音声登録は不要で、録音した音声を自動でテキスト化します。
これらの機能は、電話での問い合わせが多いコールセンターでも活用できるのがポイントです。
TRAINA VOICEダイジェスト
運営会社 | 株式会社野村総合研究所 |
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主な機能 | 音声認識 対話要約 学習機能 |
システム連携 | CRM管理システム TRAINAテキストマイニング FAQナレッジ |
料金 | 要問い合わせ |
デモ体験 | – |
TRAINA VOICEダイジェストは、通話内容の自動要約と全件のモニタリングを実現したサービスです。
要約機能を活用すれば通話中でも内容を自動抽出し、応対管理システムに連携や登録が可能。オペレーターによるばらつきを防げるのがポイントです。
AIによる学習機能を搭載しているので、使うほどに精度が向上します。
CRMシステムやFAQシステムとの連携も可能なので、既存システムとの連携を前提に選びたい企業にも適しているといえるでしょう。
AmiVoice
運営会社 | 株式会社アドバンスト・メディア |
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主な機能 | リアルタイム音声認識 座席表 感情解析 通話データ検索 全通話の応対品質を自動評価など |
システム連携 | API連携 |
料金 | 要問い合わせ |
デモ体験 | ◯(毎月60分無料) |
AmiVoiceは、クラウドとオンプレミスの両方に対応した音声解析システムです。
最先端のAI音声認識や感情分析技術により、コールセンター業務を強力にサポートします。
リアルタイムで通話内容をテキスト化するので、通話終了時にはテキスト化が完了。時間と手間がかかっていた、応対履歴作成作業を大幅に削減できるでしょう。
座席表や感情分析機能は、管理者の業務負担を軽減します。
ベルシステム24
運営会社 | 株式会社ベルシステム24ホールディングス |
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主な機能 | 通話内容解析 自動音声認識 対話型AI 音声合成など |
システム連携 | CRMとのCTI連携 |
料金(税込) | 要問い合わせ |
デモ体験 | ◯(要問い合わせ) |
ベルシステム24は、さまざまなニーズに対応するサービスを提供しています。
カスタマーサポート分野では、高品質な次世代コンタクトセンターの構築や運用が可能です。
あらゆる業種業態で培ったノウハウと、数千席の在宅コンタクトセンター運用実績で、顧客に最適な提案とサポートを行います。
在宅コンタクトセンターの他にも、DXダイレクトセンター、緊急コンタクトセンターにも対応が可能。インバウンドやアウトバウンドまで、業務形態も問いません。
KARAKURI
運営会社 | カラクリ株式会社 |
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主な機能 | チャットボット FAQとの一元管理 有人チャットツール Web接客ツール チャットボット拡張 オペレーター支援ツール |
システム連携 | Salesforce |
料金 | 要問い合わせ |
デモ体験 | ◯(要問い合わせ) |
KARAKURIは、カスタマーサポートに特化したAIチャットボットです。
既存人員では対応しきれない場合や、電話が集中するタイミングで品質が不安定になるなど、コールセンターにおける課題の解決に役立つでしょう。
顧客自身で解決できるよう促すので、対応品質の低下を防げます。
Salesforceとの連携により、メッセージの出し分けや接続先の自動変更なども可能です。
sAI Search
運営会社 | 株式会社サイシード |
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主な機能 | 対応履歴チケット一覧 グラフィカルレポート 管理画面からのFAQ編集 単語の思い調整 回答精度の一括テストなど |
システム連携 | API CSV |
料金 | 要問い合わせ |
デモ体験 | – |
sAI Searchは、誰が使っても知りたい情報をすぐに見つけられる、AIを搭載したFAQシステムです。
ユーザーの疑問をAiが先回りして予測するため、検索の必要はありません。
独自開発の新しいAIを使用しているため、導入した日からすぐに利用できるのも注目したいポイントです。
コールセンターのオペレーター向けや、社内ヘルプ向けなど、用途に合わせて最適化された形で提供しています。
コールセンターに音声解析を導入するうえでの注意点
では最後に、コールセンターに音声解析を導入するうえでの注意点を2つ紹介します。
- 音声解析がしやすい環境整備をする
- セキュリティ面で万全な体制を整える
音声解析がしやすい環境整備をする
音声解析ソフトを使用する場合、分析がしやすい環境を整備することが大切です。
雑音や他のオペレーターの声が入ると、音声を正確に認識できない恐れがあります。
個別ブースを用意したり、マイクの位置を調整したりするなど、音声解析がしやすい環境を整備してください。
セキュリティ面で万全な体制を整える
音声解析は、セキュリティ面で万全な体制を整えましょう。
コールセンターでは多くの個人情報を扱います。万が一、情報が漏洩すれば、企業の信用を失いかねません。
顧客の個人情報を扱う以上、音声解析ソフトのセキュリティ面だけでなく、自社でも万全のセキュリティ体制を整えましょう。
まとめ:コールセンターに音声解析を導入して業務効率化を図ろう
コールセンターに音声解析を導入すれば、業務効率化を図れます。
管理者がオペレーターをサポートしやすくなるため、サービス品質が向上し顧客からのクレーム削減につながるのも利点です。
本記事で紹介した情報や、コールセンター向け音声解析ソフト・サービスを参考にしながら、自社にとって最適なものを選んでください。