「IP-PBXとは?」
「自社に合ったIP-PBXを導入したい」
このように悩まれている方はいるのではないでしょうか。
IP-PBXとは、インターネット回線を活用する電話交換機のことです。現在では、複数の事業所間での内線通話やオフィス内であれば会社の電話番号で発信や着信ができるなど、企業には欠かせません。
そこで本記事では、IP-PBXの仕組みや機能からクラウドPBXとの違いまで徹底解説します。選ぶうえでのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
IP-PBXとはインターネット回線を活用した電話交換機のこと
IP-PBX(Internet Protocol Private Branch Exchange)とは、「インターネット回線を活用する電話交換機」のことです。
そもそもPBXとは、Private Branch Exchangeの略で内線通話や内線と外線の接続を制御するためのハードウェアを指します。多くの企業では、代表電話番号にかけると、PBXにつながり内線へと転送されるようになっているのではないでしょうか。
近年、IP-PBXは通話料自体が安く、導入コストも抑えられるため人気が高く、シェアを拡大させています。
IP-PBXは2種類
IP-PBXの種類は大きく以下の2種類です。
- 従来より提供されている「ハードウェアタイプ」
- サーバーにインストールする「ソフトウェアタイプ」
従来より提供されている「ハードウェアタイプ」
ハードウェアIP-PBXは、通信ネットワークを制御・管理するための専用装置をオフィス内に設置して使用するタイプです。
これまでの運用実績があり、通信の安定性と信頼性の高さが魅力的です。セキュリティ対策の高さも申し分ありません。
さらに、高度な通信機能を提供し、大規模な通信ネットワークが可能であるため、多くのユーザーとの通話を適切に処理できます。
サーバーにインストールする「ソフトウェアタイプ」
ソフトウェアIP-PBXは、オフィス内にあるサーバーにインストールして使用するタイプです。
ハードウェアタイプに比べて、低い初期投資での導入ができ、コストパフォーマンスが優れています。ハードウェアを購入しインストールする必要がないため、慣れていない方でもスムーズに導入できるでしょう。
また、アップデートがしやすく、新しいユーザーや機能を追加するのは比較的簡単であり、自社ビジネスの成長に合わせて調整できます。
複数拠点で事業を展開する企業にとっても、使いやすいタイプでしょう。
IP-PBXの主な機能7つ
次に、IP-PBXの主な7つの機能を紹介します。
- 拠点間接続
- Click to Call
- メールとの連携
- ビデオ通話
- 録音機能
- ペーパーレスFAX
- ツールの連携
拠点間接続
IP-PBXの拠点間接続の機能は、企業が複数のオフィスや支店を全国各地に持つ場合に非常に重要です。
この機能により、異なる拠点間での通信が可能となります。IP-PBXシステムを使用することで、異なる場所にいる同僚やクライアントと通話できます。
業務におけるパフォーマンスの向上に期待できるでしょう。
Click to Call
Click to Callは、ビジネスコミュニケーションを迅速かつ効率的に行うための機能です。
この機能を活用すると、コンピューター上で連絡先情報をクリックするだけで通話できます。そのため、連絡先をその都度探す必要がありません。
メールやウェブページなどの情報源から直接通話を開始できるため、ビジネスプロセスを効率化できます。
メールとの連携
IP-PBXのメールとの連携により、通話履歴やボイスメールを電子メールに自動的転送できます。そのため、電子メールでクライアント情報の確認にも困りません。
重要な通話の記録やメッセージに簡単にアクセスでき、振り返りも容易にできます。
また、ボイスメールメッセージが電子メールの形式で届くため、情報整理ができるでしょう。
ビデオ通話
ビデオ通話は、IP-PBXの中で価値の高い機能の一つです。
ビデオ通話は、クライアントとの対話の手段として使用できます。クライアントへのプレゼンテーションをすぐに実施できます。
遠隔地の相手とブラウザからテレビ会議を行えるため、場所に悩む心配はありません。
録音機能
録音機能は、ビジネスコミュニケーションを管理でき、流通経路を記録し、必要な時に追跡可能な状態にできます。
IP-PBXは、通話内容を録音し、その後再生およびレビューをできるようにします。
会話内容をしっかりとおさえられるため、万が一内容を忘れても心配は要りません。
また、取り決め時の証拠として活用できるでしょう。
ペーパーレスFAX
ペーパーレスFAXは、伝統的なFAXマシンのデジタルな代替手段です。
IP-PBXを利用して、電子ファイルをFAXとして送信できます。これにより、紙文書を削減し、環境に優しいオプションを提供できます。
また、電子ファイルの送受信は、ビジネスプロセスの効率化にも役立てられるでしょう。
ツールの連携
IP-PBXは、他のビジネスツールやアプリケーションとの連携をサポートし、業務プロセスの効率を高めます。
CRMソフトウェアや顧客サポートツール、カレンダーアプリケーションなど、さまざまなツールと連携可能です。
情報が自動的に同期されるため、情報の一貫性を保てます。よって、顧客対応やプロジェクト管理が効率的になり、ビジネスプロセス全体の改善に貢献できるでしょう。
IP-PBXとクラウドPBXとの違い
では、IP-PBXとクラウドPBXの違いについて、下記5つを紹介します。
- 仕組み
- 初期費用
- ランニングコスト
- 運用形態
- セキュリティ
仕組み
IP-PBXは、オフィス内に専用の通信装置を設置し、通話制御と管理をシステム内部で行います。通話データは、ネットワーク処理されます。
一方で、クラウドPBXは、通信インフラとサービスが提供され、クラウドプロバイダーによって提供されます。
通話データはクラウド上で処理され、オンプレミスのデバイスは必要ありません。
初期費用
IP-PBXの導入には、ハードウェアやソフトウェアの購入と設置に関連する初期コストがかかります。
一方で、クラウドPBXの導入にはPBXの設置が必要ありません。
サーバーにインストールするだけで良いため、購入や工事費といった初期費用を大きくカットできます。
ランニングコスト
IP-PBXは、運用・保守やハードウェアの修理・交換、エネルギー消費などのランニングコストがかかります。通信に応じたインフラのスケーリングも必要です。
一方で、クラウドPBXは、通常、月額のサブスクリプション料金がかかります。この料金には、通信サービスやアップデート、セキュリティ、保守費用などが含まれています。
なお、ユーザー数ごとに月額費用が変動する点も把握しておいてください。
運用形態
IP-PBXは、自社内で運用されます。しかし、管理とメンテナンスを内部で行わなければならないため、運用に関するリソースが必要です。
一方で、クラウドPBX は外部のクラウドプロバイダーによって運用されるため、オフィス内のスペースやリソースを節約できます。
セキュリティ
IP-PBXは、セキュリティは主に自社で管理されます。外部からのウイルス攻撃やデータ漏洩に対するリスクがあり、セキュリティ対策を自力で強化しなければなりません。
一方で、クラウドPBX はセキュリティがクラウドプロバイダーに委託されるため、高度なセキュリティ対策が行われます。
しかし、プロバイダーのセキュリティに対して信頼できるサービスの選定が求められます。
IP-PBXを導入する5つのメリット
IP-PBXの導入に伴う5つの主要なメリットについて詳しく解説します。
- 簡単に導入できる
- 豊富な機能を利用できる
- ランニングコストを抑えられる
- パソコンと連携でき機能拡張がしやすい
- 1拠点のみで運用できる
簡単に導入できる
従来の電話システムに比べて、簡単に導入できます。
特に、クラウドベースのIP-PBXを選択すると、専用のハードウェアの設置が不要であり、インターネット接続とソフトウェアの設定だけで済みます。
導入にかかる期間が短縮され、業務への影響を最小限にできるでしょう。
豊富な機能を利用できる
IP-PBX導入のメリットは、豊富な通信機能を利用できることです。
通話やボイスメール、音声認識、通話録音、ビデオ通話など幅広い機能を利用できます。
また、クラウドPBXの場合、新しい機能やアップデートが簡単に導入でき、ビジネスの成長や変化に柔軟に対応できます。
ランニングコストを抑えられる
IP-PBXのランニングコストは、従来の電話システムに比べて低く抑えられます。ランニングコストの低さもメリットの一つといえます。
大幅に削減されます。そのため大幅なコスト削減が実現できるでしょう。大幅なコスト削減が実現できれば、長期での使用が可能となり、ほかの事業の設備投資ができるでしょう。
パソコンと連携でき機能拡張がしやすい
IP-PBXは、パソコンとの連携が簡単です。そのため、新しい機能やアプリケーションの統合も手軽に行えます。
例えば、着信の振り分け機能や通話録音機能といった電話機能の拡張も難しくありません。
カスタマイズが簡単に実現できるのが、導入のメリットです。
1拠点のみで運用できる
IP-PBXは、1つの拠点だけで運用するのにも適しています。
IP-PBXシステムを1つだけ導入するだけで、全ての通信ニーズをカバーできます。
どこでも内線化が可能です。そのため、単一の拠点での運用がスムーズに進み、複雑な設定や各拠点でのPBXの構築も必要ありません。
IP-PBXにおける選び方のポイント4つ
では最後に、IP-BPXにおける選び方のポイントを4つ紹介します。
- 初期費用やランニングコストを確認する
- 自社が求める機能を確認する
- 自社の通話料とシステム許容量が見合っているか比較する
- 停電した際の代替策を考慮する
初期費用やランニングコストを確認する
IP-PBXの導入を検討するうえで、初期費用とランニングコストを確認しましょう。
初期費用には、ハードウェアやソフトウェアの購入費用、導入コスト、カスタマイズ費用が含まれます。ランニングコストには、通信料金や保守費用、アップデートにかかるコストが該当します。
自社の予算を確認し、長期的に利用可能かを確認してください。
自社が求める機能を確認する
IP-PBXの選択に関して、自社が必要とする機能を明確にしなければなりません。
通話転送やボイスメール、ビデオ通話、コールレコーディングなど、自社のビジネスにおけるニーズに合った機能を選びましょう。
豊富な機能があると便利だと思われやすいですが、実際は必要以上のスペックは、社内で使いこなせません。浸透度合いの低下を防ぐために、まずは必要な機能かどうかを精査してください。
自社の通話料とシステム許容量が見合っているか比較する
通信料金は、通信プランや通話の頻度に応じて変動するため、自社の通信パターンとシステム許容量を比較しましょう。
システムの許容量が通信量をカバーできない場合は、追加のコストが発生する可能性があります。また、容量が余ると、無駄なコストがかかります。
最適な容量設計を行い、コスト効率を確保しましょう。
停電した際の代替策を考慮する
IP-PBXシステムは、電力供給時に依存しています。そのため、停電や災害に備えた代替対策の検討が欠かせません。
長時間停電することで、機能が停止してしまい、業務に支障をきたす恐れがあります。
導入と並行して、UPS(無停電電源装置)や発電機などのバックアップ電源などの代替案も考えておいてください。
まとめ:IP-PBXを理解して自社に合ったシステムを導入しよう
IP-PBXとは、インターネット回線を活用する電話交換機のことです。
導入が容易で、通話にかかるコストを低く抑えられるのがメリットの一つです。拠点間接続やClick to Callなどさまざまな機能を有しているため、業務の効率化やコミュニケーションの効率化を進められるでしょう。
本記事で紹介したIP-BPXを選ぶ際の4つのポイントに留意しながら、自社に合ったシステムを導入してください。