「法人営業の新規開拓で初期アプローチの仕方がわからない」
「どのような方法があるのか知りたい」
法人営業の新規開拓は、企業が利益を維持・向上させるために重要な活動です。
しかし、具体的な方法やステップについて、よくわからないという方もいるでしょう。
本記事では、法人営業の新規開拓について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みください。
法人営業の新規開拓とは
法人営業の新規開拓とは、今まで取引がなかった法人顧客にアプローチをして成約につなげる一連の活動のことです。
企業が経営を存続していくためには、顧客の存在が不可欠です。
既存顧客の取引が安定している場合も、将来に備えて新規顧客を開拓していくことは、事業の一環として欠かせません。
新規開拓では、既存顧客への営業をする際より約5倍のコストを要します。
そのためコスト面のみに着目すると、既存顧客への営業に重きを置く方が得策に思えるでしょう。
ですが、長期的な視点で見るとやはり新規開拓は重要です。
法人営業の新規開拓が欠かせない理由
法人営業の新規開拓が欠かせない理由は、以下の4つになります。
- 自社の売上や利益アップを実現するため
- 急なトラブルによるリスクを抑制するため
- 国内の景気悪化や不況に備えるため
- 営業人材の育成に効果的であるため
自社の売上・利益アップを実現するため
まずは、自社の売上・利益アップを実現するためです。
既存顧客に依存している場合、売上・利益の維持はできても向上は期待できません。新規開拓にはコストが掛かりますが最終的に成約につながれば、自社の長期的な売上・利益アップになります。
急なトラブルによるリスクを抑制するため
新規開拓は、急なトラブルによるリスクを抑制するためでもあります。
想定されるトラブルの一つは「既存顧客の離脱」です。
安定した取引をしていた既存顧客が、急に競合他社に乗り換えることもあるでしょう。特に、売上の大部分を占める既存顧客が1社でも離脱した場合は、大きな打撃を受けることになります。
また、他のトラブルとして「既存顧客の経営状況悪化」が挙げられます。
既存顧客の経営状況が悪化した場合、自社との取引が急遽停止になることもあるでしょう。その場合は自社の売上もダウンしてしまい、結果的に共倒れしてしまうリスクがあります。
新規開拓は、上述したリスクを抑制するためにも非常に重要です。
国内の景気悪化や不況に備えるため
新規開拓を行うのは、国内の景気悪化や不況に備えるためでもあります。
景気が悪化した場合、顧客単価のダウンや顧客離脱の恐れがあります。その結果として赤字になってしまうこともあるでしょう。
実際にこれまでも、約30年の間に「バブル経済崩壊」や「リーマンショック」「新型コロナウイルス」による景気悪化や不況が訪れました。景気悪化や不況は、思いがけない形で突然訪れます。
景気悪化や不況が訪れたときに慌てないためにも、新規開拓によって備える重要性を認識しましょう。
営業担当者の育成に効果的であるため
新規開拓は、営業担当者の育成にも効果的です。
新規開拓は、一から顧客との関係を築いて自社の売上につなげていく活動です。そのため、既存顧客に対する営業よりもはるかに難易度が高いのは想像できるでしょう。
しかし、難易度の高い新規開拓を経験することで、営業担当者はスキルアップすることができます。
また、各営業担当者のスキルアップは、組織全体の生産性向上にもつながります。
法人営業の新規開拓方法11選
ではここから、法人営業の新規開拓方法11選を紹介していきます。
- テレアポ
- 飛込営業
- インサイドセールス
- メール
- チラシ・DM
- セミナー・ウェビナー
- 企業サイトの問い合わせフォーム営業
- SNS運用
- LPO(ランディングページ最適化)
- オウンドメディア運営
- プレスリリース
テレアポ
まず、電話による新規開拓「テレアポ」が一つの方法です。
テレアポは、電話を掛けてアポを獲得するのが目的です。電話を掛ければ実施できるため、短時間で多くの新規開拓先に自社をPRできます。
一方、成功率は0.1%~10%と低く、営業の電話であると判断された瞬間に断られることも多いでしょう。実施のハードルも低いことからまず取り組みたい新規開拓方法です。
飛込営業
飛込営業は、従来から存在する新規開拓方法です。
新規開拓先に出向き対面で営業をするため、信頼を得られやすいのが特徴です。
一方、移動のコストが掛かるのが難点です。
インサイドセールス
「顧客の育成」を目的とする、インサイドセールスも一つの方法です。
インサイドセールスでは、電話やメール・オンライン会議などの手段を通じて、時間を掛けて新規開拓先との関係を構築します。そして成約の見込みが出てきた段階で、本格的に営業を始めます。
メール
新規顧客先が企業HPなどで公開しているメールアドレスに、メールを送信するのも方法です。
メールはテレアポや飛込営業と異なり、営業時間内であれば送信できるので、比較的実施しやすい方法です。
メールを送信する際は、わかりやすい文面を心掛けましょう。
ただ、メールアドレスを公開している以上、その企業には日々たくさんのメールが送られています。そのため、大量のメールのなかに自社が送ったメールが埋もれて終わる場合もあるでしょう。
また、営業のメールはすべてスルーしている企業もあります。
チラシ・DM
チラシ・DMも一つの方法です。
訴求力の高いチラシやDMをポスティングすれば、人の目に留まる確率も高まります。デザインなどに自信がなければ、業者に外注するのも良いでしょう。
セミナー・ウェビナー
セミナー・ウェビナーも選択肢の一つです。
ウェビナーとは、オンラインで開催するセミナーのこと。昨今は新型コロナウイルスの影響により、積極的にウェビナーを活用する企業も増えています。
セミナー開催では会場費が発生する場合があるので、ウェビナーにすればコストも削減できます。
セミナー・ウェビナーを開催すれば、申込者の情報を得ることができ、新規開拓先のターゲットリスト作成にも役立てられます。
また、自社商材のデモンストレーションを実施することで、宣伝につながります。
名刺交換やアンケートの実施も行うことで、新規開拓先となる法人の情報もたくさん得られるでしょう。
企業サイトの問い合わせフォーム営業
企業サイトの問い合わせフォームを利用するのも手段です。
メールと同様、営業時間内ならどのタイミングでも行えるので、実施しやすい方法でしょう。
送信する内容を予め作成しておけば、コピーアンドペースト機能を使うことで多くの新規開拓先にアプローチできます。単純作業の業務であるため、新人にも任せやすい営業方法と言えるでしょう。
ただ企業サイトの問い合わせフォームは、顧客からの問い合わせに対応するために設置しています。そのため、営業の連絡に対しては何もアクションしない企業が多いのも現状です。
SNS運用
SNSも一つの手段です。
SNSからの営業は、相手が送信元のアカウント情報や投稿を閲覧できるので、人柄や印象を把握できることが最大の利点。新規開拓先のSNSアカウントにメッセージを送ることで、自社の情報を届けられます。
登録から運用まで無料で行うことができ、情報が拡散されれば自社を多くの人に認知してもらうきっかけにもなります。
情報を広範囲に拡散できるのはメリットではあるものの、ネガティブな情報も拡散されやすいので投稿内容には気をつけましょう。
今一度、誤解を招くような内容や差別的な発言になってないかなどを見直したうえで投稿してください。
LPO(ランディングページ最適化)
LPOとは、Landing Page Optimizationの略で、LP(ランディングページ)の最適化という意味です。
LPとは、広告や検索エンジン経由でユーザーが最初に訪れるページのこと。
例えば「商材名 申込」というキーワードで検索して表示されたLPに申込の案内がなければ、ユーザーは離脱してしまう可能性が高いです。そこで、LPOを行い、申込案内にすぐ辿り着けるようなコンテンツに改善すれば、購入につなげやすくなります。
自社の企業サイトを見直し、積極的にLPOも行っていきましょう。
オウンドメディア運営
オウンドメディアとは、企業が所有するメディアです。
オウンドメディアでの営業では、有用なコンテンツを発信し、最終的にユーザーが自社商材へ関心を持つように誘導しましょう。
ただし、オウンドメディアを多くの人の目に触れさせるためには、自社でSEO (検索エンジン最適化)対策が必要です。SEO対策とは、自社のコンテンツページを検索結果の上位に表示させる対策です。
優良なコンテンツを発信していても、検索結果の下位にしか表示されないのであれば、アクセス数は伸びないでしょう。
SEO対策を自社で行うのが難しい場合は、SEO対策を専門業者に外注することも検討しましょう。
プレスリリース
プレスリリースも選択肢です。
プレスリリースとは、メディア向けに企業情報を開示する文書のこと。コストは発生しますが、新聞や大手ニュースサイトなどに自社の情報が掲載されれば必然的に多くの人の目に触れることになります。
法人営業の新規開拓5ステップ
法人営業の新規開拓は、以下の5ステップを踏みましょう。
- ターゲットリストを作成する
- 新規開拓先へアプローチする
- ヒアリングを行う
- 提案をする
- アフターフォローをする
ターゲットリストを作成する
まずは、ターゲットリストを作成しましょう。
ターゲットリストとは、新規開拓先の情報をまとめたリストのこと。ターゲットを予め厳選しておくことで、それ以降の新規開拓活動に注力できます。
ターゲットリストを作成する際は、上場企業の場合、会社四季報を参考にするのも良いでしょう。非上場企業の情報も、企業のデータベースを持つ会社から購入することもできます。
企業情報を入手した後は、業種や企業規模なども参考にしつつ、自社商材を提案する法人を新規開拓先として絞り込みましょう。
新規開拓先へアプローチする
次は、新規開拓先へのアプローチです。
「法人営業の新規開拓方法11選」で紹介したように、アプローチ方法には多数の選択肢があります。実施方法を決定した後は、作成したターゲットリストをもとにアプローチを図っていきましょう。
新規開拓先へのアプローチで重要なのは、「信頼関係を構築すること」です。
新規開拓先とはこれまでに付き合いがないため、一から関係を築いていく覚悟が必要になります。最初のアプローチで、自社に対する印象が決まると言っても過言ではないので丁寧な対応を心掛けましょう。
言葉遣いやビジネスマナーに気を付けることはもちろん、好印象を持ってもらうように心掛けてください。
ヒアリングを行う
新規開拓先の課題やニーズを把握するために、ヒアリングも行いましょう。
ヒアリングは、提案につなげる前の重要なプロセスです。
顧客の話を聴くことなく自社商材のPRをしても、顧客から好印象は得られません。一方的な売り込みに対しては、誰もが警戒心を抱き、拒絶的な反応を示します。
ヒアリングの段階では、顧客のニーズを頭に落とし込み共感することに努めましょう。
提案をする
ヒアリングの次は、提案をする段階です。
提案の際は、ヒアリングで得た顧客の課題やニーズなどの情報をもとにして、自社商材の情報を提供しましょう。
ヒアリングの情報を交えながら自社商材の魅力を説明すると、説得力ある提案ができます。
例えば「ヒアリングの際に、〇〇という課題を抱えているとお聞きしました。弊社の製品には、〇〇を解決できる理由が3つありまして~」のように、ヒアリング内容を反映した提案をしましょう。
アフターフォローをする
新規開拓先へのアフターフォローも重視してください。
提案を行ってすぐに成約が決まるケースは、非常に少ないでしょう。
そこで必要なのは、丁寧なアフターフォローを続けていくことです。定期的に連絡をして新規開拓先との関係を維持・構築していけば、徐々に自社商材へ関心を寄せる可能性は十分にあります。
法人営業を新規開拓する際のポイント
法人営業を新規開拓する際のポイントは、以下の6つになります。
- ヒアリングを入念にする
- PDCAサイクルを徹底する
- 自社商材に自信を持つ
- 定期的に新規開拓先のフォローをする
- 決裁者に商談をする
- 新規開拓先の決算月を確認する
ヒアリングを入念にする
入念なヒアリングなくして、新規開拓を成功させることはできません。
売り込みをされることなく「自分の話を親身に聴いてくれる」という印象を与えることで、新規顧客先は徐々に心を開くでしょう。
人は、自分の話をよく聴いてくれる相手に好感を抱きます。「もっと話を聴いてほしい」「また会いたい」と思わせることができれば、次のステップである「提案」も受け入れてもらえるでしょう。
「入念なヒアリングをしている時間がもったいない」という考えは、大きな誤りです。相手の課題やニーズを把握・分析することで、はじめて質の良い提案ができます。
双方にとって重要なヒアリングは、入念に実施してください。
PDCAサイクルを徹底する
新規開拓において、PDCAサイクルを徹底することは大切です。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)という流れのこと。行動するときは、実行して終わるのではなく、評価や改善も行う大切さを示唆しています。
新規開拓においても、ヒアリングや提案をした後は振り返りをして改善につなげることが大切です。毎日もしくは定期的に、良かった点と改善すべき点を明確にして、新規開拓活動の質を上げていきましょう。
自社商材に自信を持つ
自社商材に対して、自信を持つことも重要です。
たとえ競合他社の商材に劣る点があっても、提案をする以上はしっかりと自信を持つことで、質の高い提案ができます。
また、新規開拓先からネガティブな反応をされたとしても過度に動じなくなるでしょう。
自社商材に自信を持つことができなければ、提案時にもどこか自信のなさが態度に出てしまいます。その場合「なぜか自信がなさそう…」という印象を与えてしまい、不信感にもつながります。
定期的に新規開拓先のフォローをする
定期的に新規開拓先のフォローもしましょう。
新規で契約が取れたあとに何もフォローがなければ、相手は徐々に不安を抱きかねません。
そこで、定期的に新規開拓先のフォローをすれば、不安を取り除き良好な関係を継続できるでしょう。一度コンタクトをとった新規開拓先には、可能な範囲で定期的なフォローをするのが効果的です。
決裁者に商談をする
新規開拓先の決裁者に商談をすることも欠かせません。
現状として、営業アプローチがあっても基本的に門前払いするようにルール化している企業が多いです。ですが、決裁者にアプローチしない限り、いつまでも取り合ってもらうことができません。
そこで、決裁者のSNSアカウントにメッセージを送ったり、セミナーで決裁者と名刺交換をするなど、積極的なアプローチも実施していきましょう。
新規開拓先の決算月を確認する
最後に、新規開拓先の決算月も企業サイトから確認しておくのもポイントです。
実は、決算月の1~2か月前の時期は、新規開拓先へのアプローチに最適な時期です。
多くの企業では、決算月の1~2ヵ月前までに翌年の予算を決定します。その時期は、翌年の予算の割り当てを検討中であるため、新しい取引を受け入れる余地があります。
一方、決算の1~2か月前以外の時期は予算面で余裕がないことが多く、提案を受け入れてもらいにくい傾向にあります。
新規開拓先の決算月を把握し、逆算してアプローチしやすい時期を把握しておきましょう。
まとめ
法人営業の新規開拓は、自社の経営を続けていくために重視すべき活動です。
既存顧客との安定した取引があっても、それが永久的に続く保証はありません。自社の発展、そしてリスク回避のためにも新規開拓を実施していきましょう。
新規開拓は既存顧客への営業よりも高いコストがつくため、慎重に進めなければいけません。しかし、成約に繋げることができれば、自社にたくさんのメリットがもたらされます。
入念なヒアリングや顧客目線での提案・アフターフォローを一つひとつ着実に行い、質の高い新規開拓を進めましょう。