コールセンターの離職率が高いのはなぜ?6つの理由と改善策を解説

ヘッドセット装着し悲しそうにうなだれている

コールセンターはストレスが多い職種とされており、オペレーターの離職率が高いことでも知られています。

オペレーターの離職が恒常化すれば、安定した品質でのサービス提供にも影響しかねません。

「コールセンターの離職率を下げる方法が知りたい」このように考える管理者は多いでしょう。

そこで本記事では、コールセンターの離職率が高い理由と、改善策を紹介していきます。

コールセンターの離職率

電話に対応しきれず困っている

コールセンタージャパン誌によると、新人オペレーターの離職率推移は以下のようになっています。

離職率 10%以下 11~30%以下 31~50%以下 51~70%以下 71%以上 無回答・不明
2013年 57.3% 28.9% 5.8% 1.3% 0.9% 5.8%
2018年 26.7% 8.6% 15.1% 18.5% 22.0% 9.1%

5年の間に、コールセンターの離職率が上がっていることが分かるでしょう。

離職率は「離職人数÷従業員数×100」で算出されますが、30%以上になると注意を要する状況といわれています。

コールセンター白書では、全体の約半数の企業において離職率が30%を超えているのが現状です。

一方、コールセンター白書2020では、30%以下の割合が2019年に比べて約10%増加したと公表されました。背景として、新型コロナウイルスの影響による失業者の受け入れ先として、コールセンターが選ばれたことが関係していると想定されます。

参照:新人オペレーターの離職率の推移

コールセンターの離職率が高い6つの理由

電話機とヘッドセット

それでは、コールセンターの離職率が高い理由を6つ紹介します。

  1. クレーム対応による精神的負担が大きい
  2. 課せられるノルマが厳しい
  3. 煩雑で膨大な業務量による負担が大きい
  4. 研修やサポート体制が万全でない
  5. 人間関係の悪化で仕事がつらい
  6. スキルアップできない

クレーム対応による精神的負担が大きい

コールセンターの離職率を高める原因としては、クレーム対応による精神的負担の大きさが挙げられます。

クレーム対応マニュアルがあっても、マニュアル通りに話を進められるとは限りません。

顧客から一方的に責められたり、暴言を吐かれたりすることもあえるでしょう。

クレーム対応の頻度が多ければその分精神的負担が大きくなり、辞めたいと考える方も増えてしまいます。

課せられるノルマが厳しい

ノルマが厳しいと、プレッシャーやストレスで辞めたいと考えるようになるのも要因になります。

特に、架電業務が主となるアウトバウンド型のコールセンターでは、必ずしもノルマを達成できるとは限りません。

課せられるノルマが厳しいと、達成できなかったときの落胆やストレスは大きいでしょう。

頑張ってもノルマを達成できないと、自信や働く意欲の喪失につながります。

煩雑で膨大な業務量による負担が大きい

コールセンターの業務は煩雑化しやすく、膨大な業務量をこなさなければいけません。

オペレーターとして一人前になるには、対応の仕方や商材の知識、システムの操作方法などを全て覚える必要があります。

新商品やマニュアルの更新があった場合は、今まで以上に業務負担が増えるでしょう。

覚えるべきことが多すぎて対応しきれなくなったときに、仕事を嫌に感じる方が増える可能性があります。

研修やサポート体制が万全でない

研修やサポート体制が万全ではないのも、離職率が高まる原因です。

人員不足が慢性化している場合、研修が不十分なまま顧客に対応しなければなりません。

オペレーターの知識不足が原因で顧客や上司に責められたとき、理不尽な状況に耐えきれず辞めたいと考えるようになります。

人間関係の悪化で仕事がつらい

人間関係の悪化で仕事がつらくなるのも、離職率を高める原因のひとつです。

上司の対応が人によって違ったり、質問しても教えてもらえなかったりなど、些細なことでも納得行かないことが多いほど不満が蓄積されます。

コールセンター業務では、基本的にオペレーターと顧客とのやり取りになるため、悩みを相談する機会を作りにくいのも要因です。

人間関係が悪化した居心地の悪い職場で働き続けるより、辞めた方が楽になると考えるのも仕方ないでしょう。

スキルアップできない

コールセンターは、スキルアップのチャンスがないのも離職率を高める要因です。

オペレーターの基本的な業務は顧客との電話対応なので、毎日同じ作業を繰り返します。

新人のうちは覚えることがたくさんあり、やりがいを感じていても、次第に同じ作業の繰り返しではスキルアップできないと不安になることもあるでしょう。

特に、自身のスキルアップを目標としていると、他にやりがいのある仕事を求めて離職を考えるようになります。

離職率の高さでコールセンターが受ける5つの影響

 

ヘッドセットを装着したオペレーターの横顔

続いて、離職率の高さでコールセンターが受ける影響について見ていきましょう。

  1. 管理者の業務負担が増大する
  2. 恒常的な人材不足に陥る
  3. 採用や教育コストがかかる
  4. 生産性や品質が低下する
  5. オペレーターの負担増加でさらなる離職につながる

管理者の業務負担が増大する

離職率が高まれば、管理者の業務負担が増大する恐れがあります。

オペレーターの離職が続けば、新たな人材を確保するための採用活動を行わなければなりません。

通常業務に加えて採用活動も並行する場合、管理者の業負担増加は避けられないでしょう。

業務負担の増加により、管理者の離職につながる可能性も否定できません。

恒常的な人材不足に陥る

コールセンターの離職率が高まれば、恒常的な人材不足に陥る可能性にも注意が必要です。

本来確保しなければならない人材を確保できなければ、オペレーター1人あたりの業務負担が増え、さらなる離職者が出る恐れがあります。

恒常的な人材不足に陥れば、コールセンターの運営にも影響しかねません。

採用や教育コストがかかる

コールセンターの離職率が増加すれば、採用や教育コストがかかるのも留意点です。

人材不足を解消するには、新たな人材確保に向けた、求人広告費用がかかります。

オペレーターを確保できても、新人教育のための研修やマニュアル作成など教育コストも必要です。離職者が増えるほど、採用や教育コストはかさむでしょう。

生産性や品質が低下する

離職者が増加すると、生産性や品質低下の恐れがあります。

新たにオペレーターを確保できても、新人教育が不十分なスタッフは現場に対応できないでしょう。新人教育には時間がかかるため、その間生産性が低下します。

また、一通り仕事ができるようになっても、経験不足によるミスが増えれば品質が低下し、顧客満足度にも影響しかねません。

オペレーターの負担増加でさらなる離職につながる

離職者が高いコールセンターでは、人材不足を埋めるためにオペレーター1人あたりの負担が増加します。

ただでさえ煩雑で膨大な業務をこなさなければならないのに、より負担が増えればさらなる離職につながりかねません。

コールセンターの離職率を下げるための改善策6選

明るいオフィスで電話に対応するオペレーター

では最後に、コールセンターの離職率を下げる改善策を紹介していきます。

  1. オペレーターのメンタルケアを行う
  2. マニュアルを整備する
  3. 採用人材のミスマッチを防止する
  4. 教育や研修制度を充実させる
  5. 人事評価制度を適正化する
  6. ノルマの見直しを図る

オペレーターのメンタルケアを行う

オペレーターのメンタルケアは定期的に行いましょう。

人間関係に悩んでいたり、仕事でのミスがクレームにつながったりすれば、オペレーターの精神的負担は大きくなると考えられます。

そこで、定期的な面談を実施してみてください。オペレーターによっては、対面では悩みを打ちあけづらいと感じることがあるため、ストレスチェックも有効です。

管理者は、日頃からオペレーター全体に気を配り積極的に声かけするなど、メンタルにも配慮するよう心がけてください。

マニュアルを整備する

そして、マニュアルを整備することも重要です。

オペレーターの業務量は膨大なため、イレギュラーな案件が発生したときどう対処すればいいか迷ってしまうでしょう。

マニュアルを整備しておけば、オペレーター自身で対処できるため、生産性の向上効果も期待できます。

採用人材のミスマッチを防止する

採用人材にミスマッチがないように防止することも大切です。

興味を示したものの、企業の理念や業務内容と合わないスタッフは、採用してもすぐに辞職されてしまうでしょう。

そこで、本採用前にコールセンターの適正テストやカジュアル面談の実施が有効です。

求職者一人ひとりをチェックして、ミスマッチが起こらないように慎重に採用しましょう。

教育や研修制度を充実させる

新人教育や研修制度が充実していれば、オペレーターの定着率も高められます。

煩雑で膨大なオペレーター業務を新人に任せると、ミスが多発し生産性を低下しかねません。

そこで教育や研修制度は、オペレーター個人に合わせて最適化することも重要です。

個々のオペレーターに合わせた教育や研修制度があれば、不安やストレスの軽減にもつながります。

人事評価制度を適正化する

人事評価制度の適正化も有効です。

どんなに仕事を頑張っても、評価されなければモチベーションが低下するでしょう。

ただし、オペレーターによってスキルに違いがあるので、評価する際は項目の選定も重要です。

  • 応対品質
  • 業績
  • 能力(知識やスキル)
  • 勤怠状況
  • 生産性

上記は一例ですので、自社に合わせた項目を設定してください。

また、オペレーターには、予め人事評価制度の導入や基準について共有しておくことも大切です。

ノルマの見直しを図る

オペレーターに課せるノルマの見直しも検討しましょう。

課せられるノルマが厳しい場合、達成できなかったときの精神的負担やストレスが大きくなります。

業績を上げるためにノルマが必要でも、オペレーターの離職率を高めては本末転倒です。業績を上げるためにノルマが必要でも、オペレーターの離職率を高めては本末転倒です。そこで、これまでの傾向から現実的に達成可能なラインを設定しましょう。

また、ノルマの見直しを図るだけでなく、ノルマを達成できるようなマニュアルや研修制度の導入も検討してみてください。

まとめ:コールセンターの離職率低下に向けて体制の基盤を作ろう

明るく環境の良いコールセンターで働くオペレーター

コールセンターは離職率が高い傾向があるため、早期に適切な対応を行わなければコールセンターの生産性や品質が低下する恐れがあります。

なぜコールセンターの離職率が高いのかを理解し、早い段階で適切な対策を実施すれば離職率の低下につながるでしょう。

本記事で紹介した情報を参考にしながら、コールセンターの離職率低下に向けた体制の基盤を作ってください。