「コールセンターのオムニチャネル化とは?」
「オムニチャネル化するとどのような利点があるの?」
オムニチャネル化とは、あらゆるチャネルで顧客との接点を持ち、一貫したアプローチを行う販売戦略のこと。オムニチャネル化には、顧客満足度の向上をはじめ、さまざまなメリットがあります。
そこで本記事では、コールセンターにおけるオムニチャネル化について詳しく解説します。
コールセンターでオムニチャネル化を導入するメリットや実現する5つの方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
オムニチャネル化の意味とは?
オムニチャネル化とは、実店舗やSNS、ECサイトなどオンライン・オフライン問わず、あらゆる経路を活用しながら顧客との接点をつくる戦略です。
さまざまなチャネルで接点を持ちつつも、それぞれが連動し、一貫したアプローチを実現できます。
コールセンターにおけるオムニチャネル化とは、電話やチャット、メールなど、複数チャネルでの顧客データを統合し、シームレスに利用できる状態を指します。
各チャネルで異なるアプローチがなくなり、顧客に対して安心のサービス提供ができるでしょう。
そうした背景から、近年オムニチャネル化を試みる企業はとても増加してきました。今後もこうした流れは加速していくでしょう。
オムニチャネルとマルチチャネルやOMO・O2Oとの違い
では、オムニチャネルとマルチチャネルやOMO・O2Oとの違いを説明します。
- マルチチャネル
- OMO
- O2O
マルチチャネル
オムニチャネルとマルチチャネルの違いは、チャネル間における情報連携の有無になります。
マルチチャネルは、さまざまなチャネルが存在する状態を指します。
コールセンターの場合、電話以外にメールやチャットボットなども使える状態が「マルチチャネル」に該当します。ただし、マルチチャネルではチャネル間の連携はなされていません。
そのため、顧客が「先程、メールで送った内容なのですが…」と電話をかけても、電話担当者は内容を把握していない状態になります。
一方、オムニチャネルは複数のチャネル間でデータを連携させているので、このような場合でもスムーズな案内ができます。
OMO
OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインを合わせてより上質な顧客体験を提供する戦略です。
オムニチャネルとOMOの違いは、オンラインとオフラインの区別をしているかどうかという点です。
OMOの特徴は、顧客にオンラインとオフラインの境界をあまり感じさせることがないことです。例えば、近年導入する店が増えている「モバイルオーダー」などもOMOに該当します。
一方、オムニチャネルはオンラインのチャネルとオフラインのチャネルは明確に区別されています。
O2O
オムニチャネルとO2O(Online to Offline)の違いは、顧客誘導の有無です。
O2Oとは、「オンラインからオフライン」に顧客を誘導をするマーケティング手法です。
例えば、オンラインからオフラインに誘導する例として、実店舗を持つお店がオンラインクーポンを発行し顧客の再来を促す戦略が該当します。
一方、オフラインからオンラインに誘導する逆O2Oと呼ばれる戦略もあります。この例では、スマートフォンを用いた事前オーダーに対応し、実店舗での待ち時間を短縮する戦略が挙げられます。
O2Oとオムニチャネルは、オンラインとオフラインの隔たりをなくした戦略である点は共通しています。オムニチャネルは、意図的に顧客の誘導を行うことはありません。
あくまでも顧客の意思でオンライン・オフラインどちらのチャネルも選択できる環境を提供するのがオムニチャネルです。
オムニチャネル化をする4つのメリット
オムニチャネル化をするメリットは、次の4つです。
- 機会損失を削減できる
- 顧客満足度の向上につながる
- 顧客接点の維持や向上が期待できる
- 顧客データをタイムリーに自動更新できる
機会損失を削減できる
オムニチャネルにより、機会損失を削減できます。
コールセンターでは、オペレーターの数不足が原因で電話をかけてきた顧客を待たせてしまうケースも少なくありません。
その場合、顧客にチャットでの問い合わせに切り替えてもらい、顧客の疑問を解決するシステムが構築されていれば機会損失を防げます。
マーケティングにおいて、機会損失を削減することも非常に重要です。オムニチャネル化は、すべてのチャネルを駆使できるので顧客との接点を生み出す手段として有効です。
顧客満足度の向上につながる
オムニチャネル化により、顧客満足度の向上にもつながります。
ユーザーは、問い合わせや商品購入の手段を選択可能になるからです。
問い合わせなら、FAQやチャットボット、メール、電話など、商品購入ならECサイトやLINEなどが挙げられるでしょう。
顧客が使いやすい手段に対応していれば、ストレスが蓄積される心配もありません。利便性が高く、満足度も高められます。
顧客接点の維持や向上が期待できる
コールセンターのオムニチャネル化は、顧客接点の維持・向上が期待できます。
接点が一つだけでは、顧客はしつこいと感じやすくなるでしょう。
例えば、忙しいときにはメールを利用し、対話を通して疑問を解決したいときは電話をするなどたくさんのチャネルを持たせることができます。
もし、電話のみにしか対応してなければつながるまで接点を持つこと自体ができません。
しかし、オムニチャネルでは提供するチャネルの数だけ、顧客との接点維持・向上を実現できます。
顧客データをタイムリーに自動更新できる
顧客データをタイムリーに自動更新できるのもメリットです。
チャネルごとにデータベースが分かれていると、各チャネルで取得した顧客情報や問い合わせ内容をCRM(顧客関係管理システム)などにリアルタイムで更新できません。
一方、オムニチャネルであれば、あらかじめチャネル間でデータ連携できるシステムを構築しています。そのため、タイムラグなく顧客データを自動更新できるのが魅力です。
オムニチャネル化する際のデメリット・注意点2つ
オムニチャネル化には、2つのデメリットや注意点があります。それぞれ確認し、留意してください。
- 初期投資にコストがかかる
- 成果が得られるまでに時間がかかる
初期投資にコストがかかる
まず、初期投資にコストがかかることです。
チャネル間でデータ連携をするためには、どうしても大規模なシステム変更やデータの移行作業が必要になります。場合によっては、費用を投じる必要もあるでしょう。
また、オムニチャネル化後の応対方法をオペレーターにレクチャーする必要も生じます。
このように、コールセンターにとって、オムニチャネル化は大がかりな作業が必要です。
そのため、オムニチャネル化は、予算を考慮しながら少しずつ計画的に進めてください。
成果が得られるまでに時間がかかる
オムニチャネル化しても、成果が得られるまでに時間がかかることがあります。
成果を出すためには、まず顧客にオムニチャネル化したことを周知しなければいけません。その際、各チャネルを積極的に活用してもらうように案内しましょう。
ただし、周知したとしても顧客がすぐ適応して、それぞれのチャネルを活用できるとは限らないでしょう。
そのため、オムニチャネルの浸透には、ある程度の時間が掛かることも念頭に置いてください。
コールセンターにおけるオムニチャネル化の実現に欠かせない5つのこと
では最後に、コールセンターでオムニチャネル化の実現に欠かせないことを5つ紹介します。
- CTIシステムを活用
- IVR(自動応答システム)を導入
- FAQコンテンツの見直し
- チャネル間でのデータ連携
- AIの活用
CTIシステムを活用
まず、CTIシステムを利用することです。
CTI(Computer Telephony Integration)とは、コンピューターで管理している情報とオペレーターの電話を連動するシステムのこと。便利な機能も多数搭載されています。
例えば、ワンクリック発信やオペレーターへの受電振り分け、顧客情報・トークスクリプト(営業台本)の表示、通話録音などの機能が利用できます。
また、CRMシステム(顧客情報を管理するシステム)やSFA(営業支援ツール)とCTIを連携させれば、簡単に顧客情報をオペレーターへ共有できます。
電話以外にメールやチャットといったチャネルの情報を扱えるCTIも少なくありません。そのような製品を導入すれば、いっそう効率よくオムニチャネル化を進められるでしょう。
IVR(自動応答システム)を導入
IVR(Interactive Voice Respons)を導入することでも、効率的にオムニチャネル化を実現できます。
IVRとは、音声ガイダンスによる案内が可能な「自動応答装置」のことです。
「〇〇の件についてのお問い合わせは1、△△の件についてのお問い合わせは2を」のように、顧客に操作を促しつつ最終的に最適な窓口に誘導します。
IVRを導入すれば、オペレーターの負担を軽減でき、組織全体の生産性が向上します。
FAQコンテンツの見直し
FAQコンテンツ(よくある質問と回答)の見直しも重要です。
各チャネルから導線を引くことになるFAQの内容がわかりづらければ、顧客満足度の向上は見込めません。
現在のFAQコンテンツを見直して、回答内容がわかりづらければ改善しましょう。
また、よくあるお問い合わせでありながらFAQコンテンツに掲載してないものがあれば、新たに追加してください。
FAQを設置すれば、顧客は迅速に疑問を解決でき、問い合わせの機会も削減できるでしょう。
チャネル間でのデータ連携
オムニチャネル化は、チャネル間でのデータ連携をしてはじめて成立します。
そのため、複数チャネルにまたがる顧客情報を相互に連携させるための作業が必要になります。
データ連携の手段には自社でのシステム改修や導入などが挙げられます。
そこで、CRM(顧客関係管理システム)を活用するのも方法です。
CRMを活用すれば、すべてのチャネルから得た顧客情報や問い合わせ内容を一元管理することができるため、オムニチャネルを効率的に進められます。
AIの活用
AI(人工知能)の活用も有効です。
コールセンターでよく利用されるのはAIチャットボットです。
AIチャットボットを導入すれば、自動的に顧客対応ができます。
コールセンターでオペレーターが不足しているときは、なかなか電話がつながらない状態もあるでしょう。そこで、AIチャットボットを活用すれば、この問題を解決できます。
現在のAIチャットボットは対応品質も高く、多くの企業で利用されています。
まとめ:コールセンターのオムニチャネル化で顧客満足度を高めよう
オムニチャネル化は、複数のチャネル間でのデータ連携を行い、顧客満足度を高めるための戦略です。
従来のコールセンターでは、手段が電話のみでかけてもつながらず、顧客の不満につながるケースも珍しくありませんでした。
そこでオムニチャネル化をできれば、従来のコールセンターでありがちだった問題を解決し、より良い顧客体験を提供します。
ぜひ本記事の内容を参考に、オムニチャネル化を進めていってください。