「ACWってコールセンターではどんな意味で使われるの?」
「ACWを短縮する方法を知りたい」
ACW(After Call Work)とは、平均後処理時間のこと。コールセンターにおいて電話応対終了後の後処理にかかる時間を意味します。通話内容を記録したり、顧客情報を更新したり、次回のアクションを計画したりなどを顧客との通話後に行います。
この作業は、効果的な情報管理や次のステップの準備を含む重要なプロセスと言えるでしょう。
しかし、ACWが長くなればスムーズな顧客対応ができなくなり、オペレーターの負担も増えかねません。
そこで本記事では、コールセンターにおけるACWの意味だけではなく、ACW短縮の方法を紹介します。ぜひ、最後までご覧ください。
この記事の内容
ACWとはコールセンターのオペレーターが行う電話応対後の後処理作業にかかる時間のこと
ACWとは、コールセンターにおいてオペレーターが行う電話応対後の後処理作業にかかる時間のことです。そこで、まずはACW2つの要素をみていきましょう。
コールセンターにおけるACWの重要性
ACWは、対応後の処理にどれくらい時間がかかっているかを表す指標であり、業務の効率性と質に関わる重要な要素です。
ACWが適切であれば、顧客情報が正確に記録され、次回の対応がスムーズになります。また、ACWは顧客満足度にも直結します。オペレーターが余裕を持って情報を整理し、適切なフォローアップを計画できれば、顧客満足度の向上に期待できるでしょう。
さらには、ACWが短縮できれば、オペレーターの負担も軽減できます。
ACWの平均時間は5.3分
コールセンター白書によると、ACWの平均時間は5.3分です。もし6分以上かかっているようなら、平均よりも長い時間がかかっていると言えるでしょう。
また、3分未満で完了できる割合は24%です。
つまり、おおむね5分程度は、次の電話に出られないと言えるでしょう。
ACWとAHT・ATTの違い
では続いて、ACWとAHT・ATTの違いについてそれぞれ紹介します。
AHTとの違い
AHT(Average Handle Time)とは、1件の電話応対にかかる平均時間を言います。
これには通話での顧客対応時間とACWの両方が含まれます。そのため、AHTは電話で顧客に対応し、その案件に関わる業務を終えて、次の電話を取るまでにかかる時間の平均を指します。
ATTとの違い
ATT(Average Talk Time)は、顧客とのコミュニケーションに限った時間を指します。ATTには、ACWは含まれません。顧客の要望やどれだけの時間費やしているかを示しています。
この指標は、効率性や顧客満足度を測るために重要ですが、それぞれ異なる側面を表しています。AHTは総合的な対応時間を、ATTは顧客との対話時間を、そしてACWは応対後の作業時間を示す指標として捉えられます。
ACWやAHT、ATTそれぞれが適切なバランスを保ちながら、最適化することが効果的な運営につながるでしょう。
ACWが長くかかる3大要因
ここでは、ACWが長くかかる要因について下記3つ紹介します。
- オペレーターの能力や経験値に差がある
- 後処理のフローが複雑化している
- 不整備のマニュアルを使用している
オペレーターの能力や経験値に差がある
ACWの時間が長くなる主な要因の一つは、オペレーターの能力と経験値の差です。
経験豊富なオペレーターであれば、顧客情報の整理や次のアクションの計画を迅速に行えるでしょう。
しかし、新人や経験が不足している場合は、同じ作業でも多くの時間がかかります。
スキル向上やトレーニングの充実は、ACWの時間短縮につながるでしょう。
後処理のフローが複雑化している
そして、後処理におけるフローの複雑化も理由の一つです。
顧客情報の更新やデータの入力、次のステップの計画など、タスクが多岐にわたる場合、効率的に実行するために時間を要します。
そこで紙とペンを使用していたら、後処理に膨大な時間がかかるでしょう。
システムやプロセスを最適化し、不必要な処理を削減することで、ACWを短縮できます。
不整備のマニュアルを使用している
ACW の時間が長くかかる問題の一つに、不整備なマニュアルの使用が挙げられます。
マニュアルが不明瞭で、整備されていない場合、ACWが長くかかります。正確、かつ最新の情報で使いやすいマニュアルを提供し、スムーズに作業できる環境の整備が重要です。
マニュアルの整備もACW短縮につながるでしょう。
ACWを効率化する4つの改善方法
では、ACWを効率化する改善方法を4つ紹介していきます。
- オペレータ向けの研修・教育を実施する
- 顧客対応後の処理フローを改善する
- マニュアル・運用ルールを見直す
- コールセンターシステムを導入する
オペレーター向けの研修・教育を実施する
ACWの効率化に向けては、オペレーター向けの研修や教育が重要です。
経験豊富なスタッフからの指導は、ベストプラクティスを共有でき、ACWに関するスキルと知識が向上します。
なお、トレーニングは新人のみに有効とは限りません。経験者のスキルアップにも期待でき、ACWを短縮する一因となるでしょう。
顧客対応後の処理フローを改善する
ACWの効率化には、顧客対応後の処理フローの改善が必要です。
タスクの優先順位付けや自動化、効果的なツールなどの活用により、オペレータは必要な作業を効率的に行えます。
シンプルかつ効果的なフロー設計によって、ACWの時間を削減し、次の対応を迅速に行えるでしょう。
マニュアル・運用ルールを見直す
ACWの効率化には、マニュアルと運用ルールの見直しが重要です。
明確で適切なマニュアルを提供し、必要な情報が迅速に入手できるようにしましょう。
また、手間のかかる手続きや複雑な規則も見直し、オペレーターが正確かつスムーズにACWを実施できる環境を整えることも大切です。
コールセンターシステムを導入する
効果的なACWの実現には、システムの導入も考慮すべきです。
統合されたシステムによって、顧客情報の自動更新やタスクの自動割り当てが可能となり、ACWの作業を削減できます。データの追跡や分析で、ACWプロセスの改善点を特定できるでしょう。
これらの改善方法を講じることにより、ACWの効率化と運用の向上を実現できます。顧客対応後の作業をより効果的に行うために、継続的な取り組みと改善が必要です。
コールセンターにおけるACWの短縮で得られる効果
では、コールセンターにおけるACWの短縮で得られる3つの効果をみていきましょう。
- 架電数増加による生産性の向上
- 業務効率化によるコスト削減
- 待ち時間短縮による顧客満足度の向上
架電数増加による生産性の向上
ACWにかかる時間の短縮で、架電数の増加による生産性向上につながります。
オペレーターがACWにかかる時間が減少すれば、同じ時間内により多くの通話を処理できるため、架電数が増加します。
効率的な対応が可能となり、顧客からのお問い合わせに迅速に対応できるようになるでしょう。
業務効率化によるコスト削減
ACWの短縮は、業務効率化を促進し、コスト削減につながります。
オペレーターがACWにかかる時間を削減することで、人件費や設備の効率的な活用が可能になります。
プロセスの最適化によって、不要なリソースの浪費を削減できるでしょう。
待ち時間短縮による顧客満足度の向上
ACWの短縮は、顧客満足度の向上も期待できます。
オペレーターが迅速に次の応対に移行できると、顧客は電話の待機時間がなくスムーズな対応を受けられます。顧客ニーズにも迅速に対応できるでしょう。
ACWの短縮は、コールセンター業務に多くのメリットをもたらします。生産性の向上やコスト削減、顧客満足度の向上などの効果を実現できます。
ACWの短縮を図る際の注意点
では最後に、ACWの短縮を図る際の注意点を紹介します。
- ヒューマンエラーの発生を防止する
- ACW の評価基準を柔軟にする
- ACW だけでなく総合的に評価して生産性を高める
ヒューマンエラーの発生を防止する
ACWの短縮を図る際の注意点は、ヒューマンエラーの発生を防ぐことです。
ヒューマンエラーが発生することで、かえってACWが延長します。また、顧客対応に影響を与え、顧客満足度が低下する可能性があります。
迅速さよりもまずは正確性を重視するように意識しましょう。
ACWの評価基準を柔軟にする
ACWの短縮を図る際には、評価基準を柔軟にすることも大切です。
時間の短縮ばかりにとらわれすぎても良くありません。というのも、顧客対応において、顧客の要望や注文内容によっては、時間をかけて対応しなければならないためです。
柔軟な評価基準が必要と言えるでしょう。
ACWだけでなく総合的に評価して生産性を高める
ACWだけでなく、総合的な評価視点を持つことが重要です。
ACWの改善は、効率化に重点を置きますが、顧客対応をはじめ他の要素も考慮して最適な評価視点を持ちましょう。
AHTとATTの改善により、正確で適切な情報提供とスムーズな対話を実現できます。通話時間と対話時間を最適化できるでしょう。
また、応答率と実行率の向上も重要です。応答率とはつながりやすさを表す指標であり、稼働率とは応対に要する時間を図る指標です。応答率と実行率の向上により、生産性を高められるでしょう。
さらに、生産性向上のためには、オペレーターの休憩時間も考慮しなければなりません。適切な休憩時間を確保し、ストレスを軽減することで、業務への集中力やパフォーマンスが向上します。
まとめ:ACWとは平均処理時間のこと!改善策の実践で短縮しよう
ACWとはコールセンターにおいて、平均処理時間を表す指標です。
本記事で紹介した3つの注意点を踏まえたうえで、オペレータ向けの研修・教育を実施したり、システムを導入したりすればACWの短縮を実現できます。
架電数増加による生産性の向上だけでなく、コスト削減や顧客満足度の向上につなげるために、時間の短縮を図りましょう。