応酬話法で営業トークの質を上げる!活用のポイントや注意点も解説

「営業トークが苦手で商談がうまくいかない…」
「いつも顧客の返答に詰まってしまう…」

このように悩んでいる営業担当者もいるのではないでしょうか。

営業トークを円滑に進めるためには、適切な返しができなければいけません。

そこでまず身につけてほしいテクニックは、応酬話法と呼ばれる話術。顧客との関係性を構築しつつ、成約率アップも果たせます。

本記事では、9パターンの応酬話法と活用ポイントを解説していきます。トーク例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

営業トークに欠かせない応酬話法とは?

応酬話法とは、顧客の反応に上手く切り返す話術のこと。顧客のいかなる反応に対しても上手な切り返しができれば、会話を円滑に進められます。

また、テンポ良く会話を展開できるので、徐々に安心感が芽生えて顧客から好印象になるでしょう。

主に顧客のネガティブな反応に対して「どう返すべきか…」と焦ってしまう営業担当者は少なくありません。

そこを解消できるのが応酬話法という会話のテクニックです。

応酬話法を活用するメリット4つ

では、応酬話法を活用する4つのメリットを解説していきます。

  1. 営業トークの質を高められる
  2. 顧客との信頼関係を構築しやすい
  3. 商談の時間を短縮できる
  4. 成約率アップにつなげられる

営業トークの質を高められる

まず、応酬話法により営業トークの質を高められます。

顧客は営業行為に対して少なからず警戒心を抱いており、商談中にネガティブな反応を示されることもよくあるでしょう。
ですが、その度に切り返し方を悩んでいては、営業トークは進められません。

そこで応酬話法を習得していれば、不安が減り、自信を持って商談に臨めるので質の高いトークを展開できます。

顧客との信頼関係を構築しやすい

また、応酬話法を活用することで、顧客との信頼関係を構築しやすくなります。

顧客が本音を打ち明けやすい環境も、応酬話法によって生み出すことができます。
本当のニーズを引き出せれば顧客に寄り添った提案ができ、強い信頼を寄せてもらえるでしょう。

商談の時間を短縮できる

応酬話法を身に着ければ、商談の時間短縮にもなります。

商談中に顧客との押し問答になってしまったり、沈黙になり気まずい思いをした経験を持つ人もいるでしょう。

そこで、応酬話法による上手な切り返しができれば、押し問答や沈黙の時間も削減しやすく、商談時間をより有意義なものにできます。

成約率アップにつなげられる

さらに、応酬話法を身に着けることで成約率アップにもつなげられます。

成約を得るには、顧客に「自社商材を購入すべき意味」を実感してもらう必要があります。
ネガティブな反応を示す顧客に対しても応酬話法を適切に使用することで、購入しない理由を取り除きやすくなります。

営業トークで使える!応酬話法9パターン

それでは、営業トークで使える9パターンの応酬話法を紹介します。

  1. 寄り添い法
  2. 質問話法
  3. ブーメラン法
  4. Yes but話法
  5. Yes and話法
  6. 例話法
  7. 否定法
  8. 資料転換法
  9. 聞き流し法

寄り添い法

寄り添い法とは、顧客の話を否定せず共感を示し、同じ目線に立って顧客の問題解決を進める方法です。

寄り添うことによって、警戒心を解き、大きな信頼関係を築くきっかけにもなります。
主に、ヒアリングの序盤で活用される頻度が高いでしょう。

【寄り添い法の例】

顧客「御社の製品も良いとは思うけど、金額が高いのであればやめておきたい。」

営業担当者「金額は非常に重要ですよね。実は契約プランは複数ご用意しています。
金額を押さえつつ、最低限必要とされる機能は使えるような最適なプランを一緒に考えさせてください。」

質問話法

質問話法は、営業担当者から質問を投げかけつつ、顧客が抱える課題や潜在ニーズを引き出す方法です。

主にヒアリングもしくはアイスブレイクのフェーズで用いられます。

ただし、質問ばかり投げかけてはいけません。相手にプレッシャーをかけてしまうため、自然なテンポで質問してください。

【質問話法の例】

営業担当者「現在、抱えている課題をお聞きしてもよろしいですか?」

顧客「新規開拓が思うように進まなくて。でも、具体的な改善策もわからない状態です。」

ブーメラン法

ブーメラン法とは、顧客が断る理由を聞き出した後に「だからこそ~なのです」とプラスの方向に切り返す方法です。

顧客に意表を突くようなインパクトを与えるため、上手に活用すれば説得力を出せる方法です。

【ブーメラン法の例】

顧客「御社の製品は、他と比べてもやはり金額が高いと思う。」

営業担当者「だからこそ、金額に見合った品質を提供できます。コストが低いものを購入して、後悔していただきたくありません。」

Yes but話法

Yes but話法は、まず顧客の意見を受け入れて肯定し、その後に反対意見を伝える方法です。

顧客の意見を最初から否定すると、相手は気分を悪くしかねません。
そこで、最初はどんな意見も受け止めて「おっしゃる通りです」「そうですよね」と肯定します。
その後に、「ですが、弊社の商品には〇〇というメリットもあります」などのように話を転換すると、相手は聞き入れやすいでしょう。

【Yes but話法の例】

顧客「うちは既に大手企業〇〇社の製品を利用しているんですよ。だから特に必要ないかな。」

営業担当者「確かに〇〇社の製品は充実した機能が揃っていますね。ですが、実は弊社の製品は〇〇社にはない大きな特徴がありまして…」

Yes and話法

Yes and話法は、まず顧客の意見を肯定し、「さらに、こういった考えもありますよ」という姿勢で話を展開する方法です。

Yes and話法を使えば、「自分の意見を受け入れてもらって、さらに新しい情報も得られた」と感じてもらえます。そのためYes but法よりも、顧客にやさしい印象を与えられるでしょう。

【Yes and話法の例】

顧客「御社の製品は、使い勝手が良くないのでは?金額や機能が気に入っているのだけど…」

営業担当者「おっしゃる通りです。まだ開発して間もない製品ですので、使い勝手にはまだ改善余地がございます。

使い心地を重視される場合は、既存の製品を継続していただくほうがお得かと存じます。

また、乗り換えして支払い金額を抑える選択肢もございますが、いかがでしょうか。」

例話法

例話法は、具体例を出して自社商材の魅力を伝える方法です。主に、商談のクロージングフェーズで活用されます。

商品を実際に購入した既存顧客の事例を取り上げるため、購入意欲を掻き立てられます。

もし、有名企業の導入事例があるなら、より説得力が増すでしょう。

ただし、個人情報の取り扱いには注意しなければいけません。個人情報の守秘義務契約がある場合は、必ず遵守してください。

【例話法の例】

営業担当者「弊社の製品を〇〇社に導入していただいた後、業績が〇%上がり…」

顧客「なるほど、〇〇社も導入しているんですね。それならば検討してみようかな…」

例話法は、顧客が「自社商材を購入する決定的理由」を感じていないときの一押しに有効です。

否定法

否定法は、顧客が抱える不安や懸念点、理解不足が見られる発言を正面からはっきりと否定する話法です。

特にクロージング時に、相手に誤解が生まれていると感じた場合に活用しましょう。

【否定法の例】

顧客「御社の製品を導入しても使いこなせるかが不安です…。結局使わなくなってしまうかもしれない。」

営業担当者「その点について心配は要りませんよ。ご購入後は丁寧に使用方法をガイドするサポートも提供しています。」

資料転換法

資料転換法とは、顧客に商材の資料を共有しながら説明する話法です。

口頭での提案では難しいときには、資料で具体的な数値や事例を用いた説明を実践してみてください。表や挿絵などの視覚情報を提示することで、いっそう説得力のある提案ができます。

また、会話が行き詰まったときに「では、資料をご覧ください」と声掛けをすることで、場をつなぐテクニックとしても使えます。
商談の際は、必ず資料を持参しましょう。

【資料転換法の例】

(営業担当者による口頭説明)

顧客「…うーん(考え込む様子)」

営業担当者「それでは、こちらの資料をご覧ください。」

聞き流し法

聞き流し法は、顧客から強いネガティブな反応が返ってきた際にその話を聞き流す方法です。

顧客が強い口調で意見を述べているようなときに反論すると、商談はうまくいきません。
そのため、敢えて「聞き流す」という方法で押し問答の時間を短縮し、顧客にクールダウンしてもらうのも、時には大切です。自社商材を否定されると反論したくなる気持ちは出てくるでしょうが冷静に堪えてください。

ただし、聞き流し法は「自分の話をちゃんと聞いていない」と思わせてしまう場合も少なくありません。あくまでも「話はきちんと聞いている」という態度を見せるようにしましょう。

【聞き流し法の例】

顧客「御社の製品の魅力を全然理解できない。他社製品の場合は………」

営業担当者「…ところで、こちらについての説明がまだでしたので、させていただきますね。」

応酬話法の活用ポイント4つ

続いて、応酬話法の活用ポイントを4つ紹介します。

  1. ロールプレイングで応酬話法を身に着ける
  2. 応酬話法をトークスクリプトに盛り込む
  3. 事前にFAQを作成する
  4. 部下の商談に同行してフィードバックする

ロールプレイングで応酬話法を身に着ける

まず、ロールプレイングを行い応酬話法を身に着けましょう。

商談中は、頭の中で「今はどの応酬話法を使うべきか」などと悩む暇がありません。顧客の言葉に対し、テンポよく切り返していく必要があります。

そのため、応酬話法を一通り頭に入れるだけではなく、実際の商談場面を想定した練習をするのも大切です。
ロールプレイングの際にたくさん失敗を重ねておくことで、本番に向けて改善をすることもできるでしょう。

短時間でもロールプレイングを積み重ねることが、応酬話法を自身のテクニックとするための最短距離です。

応酬話法をトークスクリプトに盛り込む

応酬話法を予めトークスクリプトに盛り込むのも、おすすめです。
トークスクリプトとは、事前に顧客と話す内容を決定した営業トークで使う台本のこと。

一般的にテレアポの場合はトークスクリプトを見ながら案内するため、そのまま読むことで応酬話法を使った対応ができます。
訪問営業の場合は事前にトークスクリプトを参考にして練習をしておき、顧客の前でも応酬話法を使えるように備えておくと効果的です。

トークスクリプトについてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。

テレアポではトークスクリプトが重要!トークスクリプト作成のポイントは?

事前にFAQを作成する

事前にFAQ(よくある質問とそれに対する回答)を作成するのも有効です。

その際は、FAQにも応酬話法を盛り込み、上手な切り返しトークを用意しておきましょう。

想定される質問やこれまでの商談中に受けた質問を書き出し、どの応酬話法で対応すべきか検討してください。
商談前にFAQを見直せば、いざ本番でも応酬話法を使った切り返しを流暢に行えるでしょう。
また、FAQは一度作成して終わりではなく、定期的に内容をブラッシュアップするのも必要です。

部下の商談に同行してフィードバックする

部下の商談に同行してフィードバックするのも良いでしょう。

部下自身は応酬話法を身に着けているつもりでも、実際の商談では活用できていない場合もあります。
可能な範囲で部下の商談に同行し後ほどフィードバックをすれば、部下自身も応酬話法の定着度合いを客観的に把握できます。
そして、フィードバック内容をこれからの商談に活かす大切さも指導しましょう。

応酬話法を活用する際の注意点

最後に、応酬話法を活用する際には以下の注意点も意識してください。

  1. 活用するタイミングに注意する
  2. 話の上手さに警戒される場合もある

活用するタイミングに注意する

応酬話法は、活用するタイミングに注意してください。

使うタイミングを誤ってしまうと、顧客との関係に悪影響を及ぼします。

例えば、自社商材より他社商材の方を気に入っている明確な理由を持つ顧客がいたとしましょう。その顧客に対してYes but話法を使ってひたすら自社商材の魅力を強調しても、悪印象のみを与えて商談が終わる可能性もあります。

応酬話法を身に着けるのは営業担当者にとって欠かせませんが、タイミングを間違えると逆効果です。

活用ポイントを見極めて、取り入れてみてください。

話の上手さに警戒される場合もある

応酬話法による話の上手さに警戒される場合もあります。

切り返しトークを巧みにされると、相手は徐々に追い詰められる感覚を持たれてしまいます。

営業や商談において、顧客に警戒心を抱かせてはいけません。
自然なトークになるように心掛けながら、顧客の反応を第一にして応酬話法を使っていきましょう。

まとめ:応酬話法は営業トークで上手に活用しよう!

応酬話法は、営業担当者が必ず身に着けておきたい話術です。

応酬話法を身に着ければ顧客への切り返しもスムーズにできるため、商談に自信を持って臨めます。

実際の商談で上手に応酬話法を使うためには、事前にロールプレイングを行うことは欠かせません。また、FAQの作成や部下にフィードバックを行うこともポイントです。

各応酬話法と使うべきタイミングを押さえて、成約率アップを目指してください。