AHTのコールセンターでの意味とは?短縮する5つの方法と注意点を解説

「コールセンターでよく使うAHTってどういう意味なの?」
「AHTを短縮する方法を知りたい」

AHT(Average Handing Time)とは、コールセンターにおいて1件あたりの顧客対応にかかる平均処理時間のこと。通話や対応にかかる平均時間を示しており、効率的な顧客サービスの実現に向けた重要な指標の一つです。

本記事では、AHTの意味や短縮するための方法に加え、注意点についても解説します。ぜひ最後までご覧ください。

AHT(平均処理時間)とはコールセンターでの顧客との通話1件あたりの平均時間

まずは、コールセンターにおけるAHTの意味など下記2つの要素をみていきましょう。

AHTはコールセンターのKPIの一つ

AHT(平均処理時間)とは、コールセンターにおける顧客との通話1件あたりの平均時間のこと。主に、コールセンター全体やオペレーターの生産性を評価するKPIの一つです。

適切なスピードで業務が行えているかだけでなく、業務プロセスや顧客対応における課題を洗い出せます。AHTの最適化は、業務の効率化と顧客満足度向上を両立させるために欠かせません。

AHTの標準値は6分10秒

AHTの標準値は、6分10秒です。

業界や企業によって異なりますが、6分10秒は一般的な目安です。ただし、標準値だけにとらわれず、品質や顧客満足度向上の継続的な追求が重要です。

顧客や問い合わせ内容によっては、7分以上かかるケースもあるでしょう。

AHTの計算式は(通話時間+保留時間+フォローアップ時間)÷通話件数

AHTは、効率性や業務の品質を測る重要な指標です。AHTの計算式は「通話時間+保留時間+フォローアップ時間)÷通話件数」です。計算式について解説します。

通話時間(平均通話時間) 顧客との対話時間を示す。問題解決や情報提供など、顧客対応にかかる時間のこと
保留時間 顧客が保留中に待機される時間を表す。オペレーターが情報収集するために保留される場合などに発生する
フォローアップ時間 通話後の追加作業や顧客情報ほ更新など、対話後に行う作業にかかる時間のこと

基準値である6分10秒と比較し、現状を把握しましょう。

コールセンターのAHT・CPH・ATTとの違い

次に、コールセンターのAHTとCPH、ATTとの違いをそれぞれみていきましょう。

CPHとの違い

CPH(Call Per Hour)とAHTとの違いは、下記の通りです。

  • CPH:オペレーターが1時間あたりに対応したコール数
  • AHT:1通話あたりの平均時間を示す

CPHが低い場合、顧客の問い合わせに十分な数対応できていません。中々電話がつながりにくければ、顧客のストレスになるでしょう。

そこで、オペレーターの数はもちろん、一人ひとりが応答件数を増やす取り組みが必要です

ATTとの違い

ATT(Average Talk Time)とAHTとの違いは、下記の通りです。

  • ATT:通話時間だけを対象として平均化された指標
  • AHT:通話時間だけでなく、処理後の待機時間も含めた総合的な指標

ATTもまた、AHTと関連する指標ですが、異なる視点から評価されます。ATTは、顧客との対話の効率性やオペレーターのコミュニケーションスキルを測るための指標です

コールセンターのAHTを適切に短縮する5つの解決方法

ここでは、コールセンターのAHTを適切に短縮する解決方法を5つ紹介します。

  1. オペレーターのトレーニング・研修を実施する
  2. 業務フローを見直す
  3. スタッフ用のマニュアルやFAQを用意する
  4. フォロー体制を整備する
  5. フィードバックをチーム全体に共有する

オペレーターのトレーニング・研修を実施する

AHTを短縮するためには、オペレーターのスキルと知識の向上が重要です。

そこで、コミュニケーション技術や問題解決能力を育成するために、トレーニングや研修を実施しましょう。

トレーニングや研修を通じて慣れさせることで、本番でもしっかりと対応できます。

業務フローを見直す

業務フローの最適化は、AHT短縮のために欠かせません。

冗長なステップや無駄な作業を排除し、効率的なプロセスを設計し直すことが重要です。システムの統合や自動化などのテクノロジーを活用して、業務フローをスムーズにしAHTを短縮しましょう。

スタッフ用のマニュアルやFAQを用意する

スタッフ用のマニュアルやFAQを用意することも、AHT短縮につながります。

マニュアルとFAQにアクセスすることで、オペレーターは迅速に顧客の疑問や問題を解決できます。繰り返しある質問に対する迅速な対応が可能となり、通話時間の短縮につながるでしょう。

また、マニュアルをベースにしたうえで、統一した情報提供を行うことで、顧客への提供内容の一貫性が保てます。

迅速で正しい情報提供ができるため、効率性の向上が期待でき、AHTが削減できます。

フォロー体制を整備する

フォロー体制の整備もAHTを短縮するために必要です。

フォローアップの手順や優先順位を明確に定義すると、オペレーターが正しいタイミングで次のステップに進めます。また、タスク管理ツールなどさまざまなツールの導入により、フォローアップを効率的に実行できるでしょう。

フィードバックをチーム全体に共有する

フィードバックのチーム全体への共有も欠かせません。

チーム全体の定例会議やミーティングで、オペレーター同士やフィードバックを共有する場を設けましょう。成果や課題を共有でき、アイディアの交換や学習の機会となります。

また、成功した顧客対応の事例やAHTを短縮したエピソードを話せれば、他のメンバーにとってのベストプラクティスとして活用できるでしょう。

フィードバックの重要性を強調し、オープンで建設的な対話が行われる環境を育てることで、チーム全体が同じ目標に向かって進めます。

コールセンターのAHTを計測・短縮する3つのメリット

では、コールセンターのAHTを測定・短縮する3つのメリットをみていきましょう。

  1. 業務効率・生産性の向上につながる
  2. 少ないオペレーターでコスト削減できる
  3. 顧客満足度アップが期待できる

業務効率・生産性の向上につながる

AHTの計測と短縮には、業務効率と生産性向上につながるメリットがあります。

AHTの短縮は、オペレーターが効率的に顧客対応に取り組み、タスクを迅速に完了できることを意味します。

AHTを計測されていると分かれば、だらだらと会話をすることもありません。顧客1人あたりの生産性向上が期待できます。

少ないオペレーターでコスト削減できる

AHTの短縮による効果的な顧客対応は、コスト削減につながります

短縮されたAHTにより、同じ時間内でより多くの顧客対応ができます。また、業務の効率化により人員を削減できます。

これにより、コストの削減と効率化が実現するでしょう。

顧客満足度アップが期待できる

AHTの計測や短縮により、一旦の短縮や効率的な問題解決につながり、顧客満足度アップが期待できるでしょう。

顧客は、迅速かつ丁寧な対応を求めています。AHTを短縮するには、顧客が知りたい内容に対して端的に解凍する必要があるため、すぐに答えを知れた相手は満足するでしょう。

また、高品質な顧客対応は、長期的な顧客獲得につながります。

コールセンターでAHTの短縮を図る際の注意点3つ

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では最後に、コールセンターでAHTの短縮を図る際の注意点を3つ紹介します。

  1. AHTが短ければ応対品質が良好とは限らない
  2. 対応の早さに囚われて顧客への対応を疎かにしない
  3. オペレーターの心理的負担になる恐れがある

AHTが短ければ応対品質が良好とは限らない

AHTの短縮は重要ですが、短時間での顧客対応が必ずしも高品質であるとは限りません

顧客対応において、中にはじっくりと時間をかけて応対すべき事例もあるでしょう。

AHTの短縮ばかりを優先し時間をかけずに対応することで、顧客満足度や対応品質が低下するリスクがあります。

対応の早さに囚われて顧客への対応を疎かにしない

AHTの短縮に固執するあまり、迅速な対応にばかり注意が向き、顧客のニーズや要望を適切に把握できない可能性があります。雑な対応は顧客満足度の低下につながりかねません。

顧客対応の質を維持するためには、対応の迅速さだけではなく、顧客の声に誠実に耳を傾け、適切な解決策の提供が求められます。

オペレーターの心理的負担になる恐れがある

AHT短縮のプレッシャーにより、オペレーターの心理的負担が高まる可能性があります。 心理的負担が増した状況が続くと、離職につながるケースもあるでしょう。

AHTを短縮するためには、オペレーターの健康とワークライフバランスを考慮することも重要です。

これらの注意点を踏まえ、AHTの短縮を計画・実施し、高品質な顧客対応と効率的な業務遂行の両立を図りましょう。

まとめ:コールセンターでAHTを短縮しつつ応対品質を維持するなら外部委託しよう

AHTとは、コールセンターにおいて顧客との通話1件あたりの平均時間であり、主にコールセンター全体とオペレーターの生産性を見る指標の一つです。

AHTの短縮は重要ですが、AHTの短縮を優先するあまり、顧客満足度や対応品質が低下する可能性があります。

応対品質を維持した上でAHTを短縮したい場合は外部委託も一つの手です。外部委託も視野に入れながら、オペレーター業務の効率化や顧客満足度の向上、コスト削減につなげましょう。