業務において、消費者や取引先からの電話による問い合わせや相談、クレーム対応などは常日頃行われます。
電話に対して誠実な対応は取れず、マナーが悪ければ企業のイメージを下げかねません。
そこで、電話対応マニュアルを活用すれば、電話対応品質を担保できます。マニュアルにより、さまざまなシチュエーションでも適切に対応できるでしょう。
本記事では、電話対応マニュアルの作り方4ステップと、作るうえでのポイントやテンプレートを紹介していきます。
この記事の内容
電話対応で心がけること
ビジネスシーンにおける電話対応では、以下に紹介する5つのポイントを心がけましょう。
- 会社の顔であることを意識する
- 明るく元気に正しく丁寧な言葉遣いを意識する
- 「もしもし」はNG
- 取り次ぐ際は保留にする
- 電話を切るときは相手が切ってから
電話対応業務は、お互いに顔が見えないため声のトーンや話し方が重要です。電話に出る際は、それぞれが会社の顔であることを意識してください。
理由は後述しますが、ビジネスシーンでの「もしもし」はマナー違反です。電話の取り次ぎ時には保留にしましょう。
適度に明るくハキハキとわかりやすく話すこと、丁寧な言葉遣いを意識することも大切です。
また、基本的に電話をかけた方が先に切るのがマナーです。電話を受けた場合は、相手が切るのを確認してから切りましょう。
電話対応マニュアルの作り方4ステップ
続いて、電話対応マニュアルの作り方について解説します。
- 基本ルールを決める
- 電話対応のトークスクリプトを作成する
- 電話対応のフローチャートを作成する
- エスカレーション先を明確化しておく
基本ルールを決める
電話マニュアルの作成では、初めに基本ルールを決めましょう。
電話がかかってきたら3コール以内に取る、「もしもし」はNGなど簡単なルールも必要です。
基本ルールを社内で共有できていれば、誰が電話を受けても一定の電話対応品質を担保できます。
電話対応のトークスクリプトを作成する
コールスクリプトを作成し社内でシェアすれば、対応品質を一定に保てることから、コールセンターでも採用されています。
構成は、オープニング・メイン・クローズの3段階で、それぞれのトーク内容を決めるだけです。
コールスクリプトは、経験豊富なスタッフが作成すると完成度が高まります。
トークスクリプトについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて確認してください。

電話対応のフローチャートを作成する
続いて、電話対応の基本的な流れを指すフローチャートを作成しましょう。
異業種の企業から問い合わせや相談があっても、基本的な対応フローは変わりません。
フローチャートがあれば、電話対応に慣れていないスタッフでも手順通りに会話を進められるのでミスや対応漏れの防止にもつながるでしょう。
エスカレーション先を明確化しておく
電話対応マニュアルの作成では、エスカレーション先を明確化しておくことも重要です。
エスカレーション先とは、他の担当者や上司に電話をとりつぐこと。電話に出たスタッフでは対処しきれないようなときに、ベテランや上司に取り次げれば事態の深刻化を防げます。
エスカレーション先を明確化しておけば、顧客に不快な思いをさせずに済むでしょう。
電話対応マニュアル作りのポイント|電話の受け方
次に、電話の受け方における電話対応マニュアルの作成ポイントを解説します。
- 電話は3コール以内に出る
- 会社名と受電者の名前を名乗る
- 相手の社名・部署名・名前は復唱する
- 要件はメモを取り正しく伝える
- 電話を取り次ぐときは保留
- 担当者が不在時は要件を伺う
- 最後に受電者の名前を伝える
- 電話は相手がきるのを待ってから切る
- 担当者が戻ったら報告する
電話は3コール以内に出る
電話を受ける場合は、3コール以内に出るのが理想です。
3コール以上で電話に出ても失礼にあたる訳ではありません。ですが、およそ10秒前後も相手を待たせてしまうため、できる限り避けるべきです。
もし万が一、3コール以上かかってしまった場合は、まず待たせたことをお詫びしましょう。
会社名と受電者の名前を名乗る
ビジネスシーンにおいては、「もしもし」はNGです。
「もしもし」は「申す申す」の略語であり、目上の人や取引先に使うと不快に思われる恐れがあります。
初めに、会社名と受電者の名前を名乗りましょう。
会社名については、株式会社をつけるのかつけないのかは、予め決めておき社内で統一しましょう。
「□□株式会社でございます。△△部の○○が承ります」 「△△株式会社の××様ですね。大変お世話になっております」 |
テンプレートを決めておけば、経験にかかわらず一定の対応品質を保てます。
相手の社名・部署名・名前は復唱する
電話に出て会社名・受電者を名乗ると、相手が社名・部署名・名前を名乗ります。
そこで、相手が話した内容が誤っていないか確認するために、必ず復唱して確認してください。
正確な情報を伝えるためにも、メモを取っておきましょう。
要件はメモを取り正しく伝える
また、要件が正しく伝えられるようにメモを取ります。
ただし、企業によって受電者は要件を伺わず担当者に取り次ぐなど、ルールが決まっている場合があります。そのケースでは、まず会社で定められたルールに従ってください。
電話を取り次ぐときは保留にする
電話を取り次ぐ場合は、一旦保留にします。
その際、相手には電話を取り次ぐので、一旦保留にすることを伝えましょう。
保留せずに取り次ぐと、周囲の雑音が相手に聞こえてしまいます。必ず保留にしてから取り次いでください。
「ただいま〇〇にお繋ぎいたしますので少々お待ちください」 |
電話を取り次ぐ場合は、余計なことを言わずにシンプルに伝えましょう。その際、一旦保留にすることも忘れずに伝えます。
担当者の不在時は要件を伺う
担当者が不在で電話を取りつげない場合は、まず担当者が不在のため戻り次第対応する旨を伝えましょう。
折り返し電話をするよう言われたら、担当者が戻る時間と折り返すのに都合のいい時間も聞いておきます。
また、伝言を預かる場合は、伝言を復唱して間違いがないか確認してください。
担当者が席を外しているとき |
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「大変申し訳ございません、〇〇はただいま席を外して(外出中)でございます」 「恐れ入りますが、ご要件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」 「伝言等ございましたらお伝えいたします」 「よろしければ、ご要件をお伺いいたします」 |
不在のタイミングやシチュエーションによっては、言葉を選ぶ必要がありますが、数パターン用意しておけば、イレギュラーなケースでも対応しやすいでしょう。
すぐに回答できない場合 |
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「ただいま確認いたしますので少々お待ちください」 「後ほど○○より折返しお電話差し上げますので、さしつかえなければ、お名前と連絡先をお伺いしてもよろしいでしょうか?」 |
すぐに回答できない場合は、相手を待たせることになります。
相手の時間を奪わないよう、最善な対処法を選びましょう。
最後に受電者の名前を伝える
一通り電話対応が済んだら、最後に受電者の名前を伝えてください。
名前は最初に名乗るので、最後に伝える必要性を感じないかもしれません。ですが、最後の名乗りには責任の所在を明らかにする目的があります。
相手目線、誰と話したのかがわかるので、安心感につながる観点からも大切です。
電話は相手が切るのを待ってから切る
会話が一通り済んだら電話を切ります一通り済んだら電話を切りますが、相手が顧客である場合は先に切ってはいけません。相手が電話を切るのを確認してから、受話器をおきましょう。
先に電話を切ってしまうと、どれだけ良い対応をしていても後味が悪くなるため、注意してください。
「本日は□□が承りました。」 「お電話ありがとうございました、それでは失礼いたします」 |
電話を切るときは、かけたときも受けたときも、必ずひとこと添えましょう。
担当者が戻ったら報告する
伝言を預かった場合は、担当者が戻ったら報告しましょう。
報告の際はメモで簡単にまとめておくと、伝わりやすくなります。
口頭でも補足しながらメモも添えれば、担当者にも正確な情報を伝えられるでしょう。
電話対応マニュアル作りのポイント|電話のかけ方
続いて、電話のかけ方におけるマニュアル作成ポイントを解説します。
- 電話をかける前に要件を整理しておく
- 会社名・部署名・名前を名乗る
- 挨拶をしてから用件を伝える
- 担当者が不在のとき基本は電話をかけた方が切る
電話をかける前に要件を整理しておく
電話をかける前に要件を整理しておくのも重要です。
要件を整理しないままでは、説明に時間がかかったりうまく伝わらなかったりする恐れがあります。相手の時間も奪ってしまうため、必ず要件は整理してください。
会社名・部署名・名前を名乗る
電話をかける際は、初めに挨拶を済ませて「会社名」「部署名」「名前」を名乗りましょう。
「お世話になっております。〇〇株式会社の△△です。○○さんはいらっしゃいますか?」 |
具体例として「株式会社BPOスタジオ、営業部の佐藤太郎です。」と伝えます。この時に「BPOスタジオの佐藤太郎です。」と株式会社や部署名を省略してはいけません。
相手がしっかりと認識できるように、はっきりと伝えましょう。
挨拶をしてから要件を伝える
挨拶が済んだら要件を話しましょう。
要件を伝える場合、内容が複雑になるほど通話時間が長くなり、相手も何が重要なのか理解できません。
要件は、相手が理解しやすいよう簡潔に伝えるのも重要です。
担当者が不在のとき
担当者が不在の場合は、かけ直す・折り返してもらう・伝言するなどの選択肢があります。
取引先に電話をかけるならかけ直すのが理想ですが、戻る時間がわからない場合は折り返してもらっても問題ありません。
わざわざ折り返すまでもない要件の場合は、伝言するよう依頼すればOKです。
基本は電話をかけた方が先に切る
電話を切るのは電話をかけた方が先ですが、お客様への電話では、相手が切る前に電話を切らないよう注意しましょう。
「本日はお時間をいただきありがとうございました。それでは失礼いたします」 |
切るときは、時間を取らせたことに感謝する言葉を添えましょう。
テンプレートはあくまでも一例です。会社で言い回しが決まっているときは、会社のテンプレートを優先してください。
電話対応に関するよくある質問
では最後に、電話対応でよくある質問をQ&A形式で紹介します。
電話でクレームを受けたときの対応方法を教えてください
クレームの電話対応では、まず相手を不快な気持ちにさせたことを謝罪しましょう。
ただし、謝罪の対象は相手を不快な気持ちにさせたことに留めておきましょう。ただし、謝罪するのではなく、「この度は、ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。ぜひお話をお聞かせ願えますか?」と相手の心情理解を踏まえたお詫びを心がけてください。
次にクレーム内容をしっかり聞き取り、解決策を提案しましょう。受電者では対応しきれないときは、エスカレーション先に電話の取り次ぎも検討します。
受電者で対応できた場合は、最後に貴重な意見を頂いたことを感謝する気持ちを伝え、相手が電話を切ってから受話器をおきましょう。
担当者が休みの時はどう対応すれば良いですか?
担当者が休みの場合は、謝罪してから素直にその旨を伝えましょう。
この時に、相手の担当者に「担当者は本日休みをいただいております」と伝えます。「外出しています」や「席を外しています」と伝えてしまうと、時間を空けて電話がかかってくる可能性もあるので注意してください。
なお、クレームの場合は相手が不快に感じる恐れがあるので、「本日は終日不在にしています」とアレンジしてもいいでしょう。
相手が電話中の場合はどのように対応したら良いですか?
担当者が電話中にかかってきた場合、タイミングによって対応の仕方が異なります。
30秒〜1分程度ともう少しで電話が終わりそうなら、先に電話中であることを伝えて謝罪したうえで待機してもらえるか尋ねてみてください。相手もおおよその時間が分かるので、待機してもらいやすくなるでしょう。
一方、話が長引く場合は、電話が終わり次第折り返す旨を伝えてください。電話中と伝えるのがふさわしくない場合は、会議中や外出中と伝え、折り返すのも選択肢のひとつです。
まとめ:電話対応マニュアルを作成して正しい対応を心がけよう
電話対応の品質は、会社のイメージダウンにつながりかねません。電話対応マニュアルがあれば、対応の品質を一定に担保できるでしょう。
質の高い電話対応は、顧客の満足度を高める効果も期待できます。電話対応マニュアルは、新人教育にかかる時間や手間を軽減できるのも利点です。
電話対応マニュアルを作成して、正しい対応を社内に浸透させましょう。