「営業計画を立てる際は、どのような項目を入れるべき?」
「営業計画作成時のポイントは?」
そのような疑問をお持ちの方もいるでしょう。
営業計画とは、その名の通り「営業活動の計画やプラン」のことで、最終的な売上にも直結します。どんなに優秀な営業マンも計画を立てなければうまくいかないときに悩みかねません。
そこで本記事では営業計画に入れるべき9項目と立て方・作り方のポイントを解説していきます。営業計画の作成を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
営業計画とは
営業計画とは、売上目標などの数値目標や営業戦略などをまとめた、営業活動にまつわる計画を指します。
営業計画を立てることで、中長期的な営業活動のイメージを社内で共有でき、全社員が同じ方向を目指して動きやすくなります。
営業計画を社内で共有する際は「営業計画書」を作成するのが一般的です。
営業計画が重要な理由
まず、営業計画の作成が重要と言える理由を3つ紹介します。
- 会社の資産として残せる
- 営業活動の進捗を把握しやすくなる
- 営業活動の内容を共有しやすくなる
会社の資産として残せる
営業計画の内容は、長期的な視点で見ると会社の資産となります。
作成した営業計画や目標達成状況を履歴として残せるため、成功例・失敗例もすべて今後の営業活動に役立てることができます。
営業活動の進捗を把握しやすくなる
営業計画によって、設定した目標値に対する現在値を常に意識でき、営業活動の進捗を把握しやすくなります。営業計画通りに進まない場合もありますが、目標値と現在値のギャップを把握できれば、方向性の修正や迅速な対応が取れます。
営業活動の内容を共有しやすくなる
営業計画を作成すれば、営業活動の内容を社内で共有しやすくなります。
誰もがすぐに閲覧できるようにしておくことで、口頭での確認も不要になり、共有に要していた手間や時間を短縮できます。
営業計画に入れるべき主な要素9項目
ここからは、営業計画に入れるべき主な要素9項目を紹介します。
- 営業のミッション
- 担当者
- 期間
- 予算
- ターゲット
- 使用ツール
- 競合企業との比較
- 他部署との連携
- マーケティング計画
営業のミッション
営業のミッションとは、営業活動で成し遂げたいビジョンのこと。
営業計画を立てる上で「そもそも何のために活動をするのか」というビジョンを意識することで、営業担当者全員が心を一つにできます。営業計画の基盤でもあるため、明確にしておいてください。
【営業のミッション記入例】
- 顧客から信頼を寄せられる企業であり続けたい
- 大手企業をターゲットとした新規顧客開拓に尽力する
担当者
営業活動に携わる担当者も記入しましょう。
将来的に人員を補充する必要があれば、採用人数や採用時期の計画もあわせて記載してください。
【担当者の記入例】
- 氏名:Aさん
- 役職:主任
- 入社年:2020年
- 主な担当業務:新規顧客開拓
【採用計画の記入例】
- 採用人数:5名
- 採用予定の役職:係長
- 採用時期:2023年10月
- 求人媒体:大手転職サイト
期間
営業計画の実施期間についても記入しましょう。
「いつからいつまで」と具体的な期間を明記しておくことで、計画した内容通りに進行させやすくなります。
【期間の記入例】
- 2023年4月~7月
- 上半期・下半期
予算
営業活動にまつわる予算を明確にしましょう。
営業活動全体の予算だけでなく、各項目ごとの予算も検討する必要があります。
【予算項目の例】
- 人件費
- 広告宣伝費
- イベント費
- 出張交通費
- 交際接待費
- 営業ツール利用料
- 消耗品費
ターゲット
顧客となるターゲットも入れておきましょう。
個人の場合は「年齢層」「性別」「年収」「居住地」、法人であれば「従業員数」「業界」「営業地域」などのように、属性を基準にターゲット像を考えていきましょう。
【個人がターゲットの場合 記入例】
- 年齢層:20代
- 性別:男性
- 年収:600万円
- 居住地:東京
【法人がターゲットの場合 記入例】
- 企業規模:従業員数700名
- 業界:IT業界
- 営業地域:全国
使用ツール
営業で使用するツールも明確にする必要があります。
【使用ツールの記入例】
- カタログ
- 営業支援ツール(SFA)
- 営業用スマートフォン
なお、営業でどのようなツールを使用すれば良いのかわからない方もいるのではないでしょうか。
そこでおすすめの営業支援ツール(SFA)については、こちらの記事でも紹介しています。これから営業支援ツール(SFA)の導入を検討する方は、ぜひ参考にしてください。
営業支援ツール(SFA)のおすすめ9選!失敗しない選び方も徹底解説
競合企業との比較
営業計画を立てる際は、競合企業との比較も大切です。
まずは競合企業をリストアップし、価格設定や商材のPRポイントなどを自社と比較しましょう。
比較した後は、競合企業より「どのように自社の魅力をPRし、競合企業よりも優位性を確保するか」を書き出しましょう。
【競合他社との比較の記入例】
・自社の強み
競合他社より商品のラインナップが豊富である
→今後も各商品の魅力をわかりやすくPRする
・自社の弱み
競合他社と比べて、販促活動が不足している
→これまでは口コミやチラシポスティングが主な販促方法だったが、今後、Web媒体による販促活動も積極的に取り入れる
他部署との連携
営業活動において重要となる、他部署との連携についても入れておきましょう。
営業部門と関係深いマーケティング部門などの戦略も営業計画に反映させて、スムーズな連携を図るのが重要です。
【他部署との連携の記入例】
・マーケティング部の戦略:年4回(5月・8月・11月・2月)、商品A・B・Cのキャンペーンを実施する
・営業部門の計画:キャンペーン実施期間中は、営業トークのなかでキャンペーン特典を強調する
商談後は、キャンペーン特典に対する顧客の反応を報告する
・営業部門の目標:1回のキャンペーン期間で、商品A・B・Cの受注率を通常より20%ずつ上げる
マーケティング計画
最後に、マーケティング計画も入れておきましょう。
マーケティング計画を立てる際は、まず市場の状況と顧客のニーズを分析してから商材の価格設定や販路・販促方法を設定する流れになります。売上に直結する項目なので、なるべく具体化しておくのがおすすめです。
【マーケティング計画の記入例】
・商品A
価格:2023年6月1日以降、5,000円から4,000円に引き下げ
主な販促方法:SNSなどのWeb媒体
・商品B:特に問題がないため、現状維持
営業計画の立て方・作り方7ステップ
営業計画の立て方・作り方は、以下の7ステップ。それぞれのフェーズについて解説していきましょう。
- 営業ミッションを明確化する
- チーム編成を構築する
- ターゲットを選定する
- 営業プロセスを洗い出して詳細設定をする
- 各プロセスの目標数値を設定する
- プロセスごとのアクションプランを決定する
- 予算設定をする
営業ミッションを明確化する
まずは営業ミッションを明確にすることで、営業計画の土台を築くことができます。
後ほど営業計画に揺るぎが生じた際も、営業ミッションに立ち帰れるので「何をゴールとするのか」を定めましょう。
チーム編成を構築する
営業目標を立てるうえで欠かせないメンバーを洗い出し、チーム編成を構築します。
チームのリーダー・メンバーを決めて、各々の役割も明確にしましょう。
ターゲットを選定する
次に、ターゲットを選定してください。
その際に、具体的なターゲット像の設定により、実在する顧客をイメージしやすくなるのでより一層営業計画に現実味が持てます。
例えば、法人の場合「IT企業」「社員数100名~200名」「資本金1,000万円以上」といったように設定します。
また個人の場合は「30代」「女性」「年収400万以上」などのように設定していきましょう。
営業プロセスを洗い出して詳細設定をする
自社の営業プロセスを、洗い出しましょう。
営業プロセスの洗い出しにより、営業計画の詳細設定をしやすくなります。
プロセスごとに着目すると「そもそも見込み客数が少ないのでマーケティング戦略を強化しなければならない」「受注率が低いので提案方法に改善が必要」などの課題が可視化されます。
各プロセスの目標数値を設定する
プロセスを把握した後は、各プロセスの目標数値を設定します。
例えば、提案のプロセスに着目した際は「現在1ヶ月あたり平均20件の提案数を、来期以降30件に増やす」など、数値で目標を具体化しましょう。
プロセスごとのアクションプランを決定する
プロセスごとのアクションプラン(行動計画)も決定しましょう。
目標数値とそれを達成するための具体的な行動があってはじめて、目標を達成できます。
例えば提案のプロセスの場合は「提案方法の見直し・改善をする」「トークスクリプト内容を改善する」「顧客へのヒアリングを強化する」といった具体的なアクションを設定しましょう。
また、以下の項目で構成される「5W1H」を利用すると、アクションプランをより具体化できます。
まず、「WHAT(何を)」にアクションを設定して、他の項目についても検討していきましょう。
- WHO(誰が):担当者名
- WHAT(何を):具体的なアクション
- WHEN(いつ):アクションの実施日時や期間
- WHERE(どこで):アクションを行う場所
- WHY(なぜ):アクションが必要な理由
- HOW(どのように):アクションの方法
予算設定をする
最後に、売上目標に対して必要な予算も設定します。
営業活動の予算項目は人件費や販促費・教育費・出張費・営業ツール利用費など、多岐にわたるので項目ごとにも細かく予算設定をしましょう。
また、予算については実際の売上や経費に対する達成率に応じて都度金額を変更する「予実管理」も必要になります。
営業計画を作成する際のポイント
営業計画を作成する際のポイントは、以下になります。
- 数値目標を設定する
- 1日単位の目標を設定する
- 現実的な目標を設定する
数値目標を設定する
数値目標を設定する営業計画を作成する際は、必ず数値での目標を立てることを意識しましょう。漠然とした目標ではなく、数値を盛り込むことで到達地点を認識しやすくなります。
一般的な数値目標として、売上金額がわかりやすいでしょう。
例えば、1ヶ月あたりの売上目標が200万円で、商材単価が10万円である場合。1ヶ月あたりの必要契約数は「200万円(売上目標) ÷10万円(商材の単価)」で20件と算出できます。一方「前月よりも契約数を増やす」といった目標では必要契約数が曖昧であり、明確なイメージが持てません。
また、数値目標を設定する際は、過去のデータを根拠にすることも重要です。過去の売上データを参考にして、どのくらいの数値目標が妥当であるかを検討していきましょう。売上目標は、営業担当者のスキルのみならず市場の状況やトレンド・時期などさまざまな要因も加味して考える必要があります。
例えば、時期によって需要が左右される商材を扱っているのであれば、過去の売上の変動パターンを掴むことによって数値目標を設定しやすくなります。
各営業担当者の過去の成績を参考にすれば、課題や今後の目標を可視化しやすくなり、適切な数値目標を立てられます。
1日単位の目標を設定する
1日単位の目標設定も大切です。
1ヶ月単位の目標だけでなく、1日単位の目標も掲げることで日々のタスクが明確になります。タスクが決定すれば振り返りも1日単位で実施できるため、進捗状況を把握しやすくなるでしょう。
1ヶ月単位での目標しか設定しない場合、月末になって慌てる事態も起こりかねません。
では、1日単位の目標はどのように設定するのが良いのでしょうか。
例として、1ヶ月に1人あたり「500件の架電数」「50件のアポ獲得数」を目標として20日出勤するとしましょう。
すると1日あたり必要な架電数は「500件(1ヶ月あたり必要な架電数) ÷ 20日(1ヶ月あたりの出勤日数) 」となり25件と算出できます。
また、1日あたり必要なアポ獲得数は「50件(月に必要なアポ数) ÷ 20日(1ヶ月あたりの出勤日数) 」で2.5件と算出されるため2~3件であることがわかります。
このように1日単位で達成すべき目標がわかれば、必要以上に焦ることなく業務に集中でき、売上アップにもつながりやすくなります。
現実的な目標を設定する
現実的に達成できる目標であることも重要です。
到底達成できないような目標を設定しても、営業担当者のモチベーションを低下させてしまい、売上アップにはつながりません。
経営者や管理職から打ち出す目標は、組織全体の士気を高めるのに効果的である一方、担当者との認識に乖離が起こるケースも少なくないでしょう。
目標を設定する際は営業担当者の立場を最大限考慮し、現実的な目標になっているかを今一度確認してください。
営業計画書のテンプレート2選
営業計画書に使用できるテンプレート2選を紹介します。
営業計画書をはじめから作成するよりも手間を省けるので、ぜひ活用してください。
もちろん、営業計画書のテンプレートを参考にしつつ自社に合わせてアレンジするのも良いでしょう。
HubSpot社 営業計画書テンプレート
営業支援サービスを展開するHubSpot社が提供する、営業計画書テンプレートです。
法人名や担当者氏名・電話番号・メールアドレスなどの情報を入力すれば無料でダウンロード可能です。
下記のテンプレート項目に従って内容を記入し、充実した営業計画書を作成しましょう。
【テンプレートの項目】
- ミッションと背景
- チーム構成
- ターゲット市場
- ツール、ソフトウェア、リソース
- ポジショニング
- マーケティング戦略
- 新規案件獲得戦略
- アクションプラン
- 目標
- 予算
素材ラボ 営業計画書テンプレート
素材ラボは株式会社文化社が運営する、イラストダウンロードサイトです。
多くのイラスト・暮らしやビジネスに役立つ素材が全国のイラストレーターから提供され、ビジネス用のテンプレートも掲載しています。
営業計画書のテンプレートをダウンロードする際は、無料会員登録をしてください。
テンプレート内容は、長期的な計画を日々の営業活動に落とし込めるように工夫が施されています。
まとめ
営業計画を作成することにより、一段と営業活動の質を高められます。
本記事で紹介した営業計画に入れるべき項目とポイントを踏まえることで、効率的に営業計画を作成できるはずです。
しかし、多忙な営業活動のなか、営業計画を作成するのは負担になる場合もあるでしょう。
それでも営業計画は「会社の資産として残せる」「営業活動の進捗を把握しやすくなる」「営業活動の内容を共有しやすくなる」ので欠かせません。
営業計画は最終的に売上アップの実現にもつながるので、ぜひ作成してみてください。