「営業ヒアリングをしても十分な情報を引き出せない」
「営業でヒアリングをしている時は、良い雰囲気だったのに成約にいたらない……」
このような悩みを持つ営業担当は多いのではないでしょうか。
営業ヒアリングでは、トーク力も重要ですが、成約につながるプロセスを把握していなければ成約には至りません。
そこで本記事では、営業ヒアリングの確認項目や流れを紹介していきます。深掘りのコツや営業ヒアリングの能力を向上させるポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
営業ヒアリングとは?
営業のヒアリングとは、最適な提案をするために、顧客の悩みや課題を引き出すことです。
営業で念入りにヒアリングをし、顧客さえも気づけていない課題を引き出せれば、より良い改善策を提案できる可能性が高まります。
自社製品やサービスを提供する際は、営業でしっかりとヒアリングしなければ、情報を引き出せずに成約にも至らないでしょう。
営業ヒアリングの重要性
営業ヒアリングは、営業プロセスの初期に行います。
顧客が抱える課題や潜在ニーズを引き出すのが営業ヒアリングの目的ですが、話を聞きながら的確な質問ができなければヒントは何も掴めません。当然、成約にはつながらないでしょう。
顧客は、課題の解決に向けて、製品やサービスの導入を検討します。
どんなに優れた製品やサービスを提案されても、課題の解決につながらなければ顧客の心は掴めません。
営業ヒアリングは、顧客の心を掴み、成約につなげるために欠かせないステップです。
営業ヒアリングの流れ7ステップ
それでは、営業ヒアリングの流れを7ステップで紹介していきます。
- 事前準備をする
- アイスブレイク(雑談)をする
- 顧客の基本情報を確認する
- 顧客ニーズの掘り起こしをする
- ゴール・解決策を明確にする
- 相手の反応を見ながら製品を提案する
- 購買意思を確認して次回訪問などに取り付ける
事前準備をする
営業ヒアリングの第一段階としては、仮説を立てるための事前準備が必要です。
ホームページやSNSから会社概要や業績など基本情報の収集や、顧客の業界や競合他社の情報も収集しておきましょう。
また、業界のニュースやコーポレートサイトもチェックしておくと、包括的な情報収集ができます。
アイスブレイク(雑談)をする
営業ヒアリングでは、アイスブレイクで緊張感をほぐすことも重要です。
アイスブレイクは、日本語訳すると「氷を砕く」になり、初対面の相手と接する際に雑談で打ち解けるといった意味合いを持ちます。
地域の話や業界に関するトピックなど、事前準備で入手したニュースを話題にすると話が合い、最初に好印象を与えられるでしょう。
顧客の基本情報を確認する
そして、顧客の基本情報を確認しましょう。
事前準備である程度顧客の情報を入手していても、あえて基本情報を質問することで顧客も答えやすく、さらに入手した情報を再確認していけます。
事前に入手した情報の再確認にもつながります。
顧客ニーズの掘り起こしをする
次に、顧客ニーズを掘り起こしていきます。
事前に立てておいた仮説を元に、顧客ニーズに迫るのがポイントです。この段階では、仮説と顧客が認識している課題にズレが生じる恐れがあります。
課題の認識が一致していれば再確認になるでしょう。不一致の場合でも、ヒアリングを進めていくことで、顧客の潜在ニーズを引き出せます。
ゴール・解決策を明確にする
そして、ゴールや解決策を明確にしましょう。
顧客によりますが、まだこの段階で明確なゴールをイメージできていない可能性があります。
そこで、営業ヒアリングを通して、顧客が抱える課題の解決策や、最終的なゴールを明確化するために擦り合わせます。
相手の反応を見ながら製品を提案する
顧客のゴールが明確になったら、相手の反応を見ながら製品・サービスを提案します。
ここまで好感触で顧客が製品やサービスに関心を示していても、予算が合わなければ成約にはつながらないでしょう。
よって、顧客がどのくらいの予算を確保しているかを確認します。具体的な購入時期も明確化しておきましょう。
購買意思を確認して次回訪問などに取り付ける
最後に、購買意欲を確認します。
顧客の購買意欲が確認できなければ、商談しても成立しません。
お客様に購買の意思があるかを確認することで、次回訪問のアポイントを取り付けられ、成約率もグッと高められるでしょう。
営業ヒアリングシートの基本項目
では次に、営業ヒアリングシートの基本項目を紹介していきます。
- 現状の課題・悩み
- 希望の導入時期・スケジュール
- 予算
- 決裁者
- 自社製品への印象・懸念点
- 競合サービスの検討状況
現状の課題・悩み
基本項目としてはじめに取り入れたいのは、顧客が抱えている現状の課題や悩みです。
そもそも、課題や悩みが分からなければ、解決策を提示できません。だからこそ、最も重要な項目です。
現状の課題や悩みを把握すれば、顧客が気づいていない潜在的な要素も見えてくるでしょう。
<h3>希望の導入時期・スケジュール
次に、顧客が希望する導入時期やスケジュールの項目です。
顧客が希望する納期に間に合わない可能性もあるため、早い段階で希望の導入時期を決めておく必要があります。
予めスケジュールを組んでおけば、顧客の希望納期に間に合わない場合にも理解してもらえるでしょう。
予算
予算も営業ヒアリングシートに追加しておきたい項目です。
いくらヒアリングがうまくできて悩みを引き出せても、最後の予算がネックになれば成約につながる可能性を下げかねません。
確保できる予算の確認は、商談をスムーズに進めるためにも大切です。
決裁者
企業によっては、商談担当者と決裁者が異なる場合があるので注意が必要です。
決裁者が異なれば、担当者には決定権がないため、その場で直接的な成約には結び付けられません。
そこで営業のヒアリング時は、最終的に購入を決める決裁者が誰であるかも把握しておきたいポイントです。
自社製品への印象・懸念点
自社製品への印象や懸念点も項目に記載してください。
顧客が自社製品に納得していないまま営業をかけても、成約にはつながりません。
顧客が自社製品にどんな印象を持っているか、懸念点はないかなど早い段階で把握しましょう。印象や懸念点を把握しておけば、そこをカバーできる提案をできるかもしれません。
競合サービスの検討状況
営業ヒアリングでは、競合サービスの検討状況も把握しておきたいポイントです。
顧客が自社製品と他社製品を比較する際に、競合の情報を知っていれば自社製品の強みをアピールしやすくなります。
また、競合と比較することで、顧客のニーズもつかみやすくなるでしょう。
競合サービスの検討状況もシートに追加し、必ず確認してください。
営業ヒアリングで役立つ3つのフレームワーク
続いて、営業ヒアリングに役立つ3つのフレームワークを見ていきましょう。
- SPIN
- BANT
- 5C分析
SPIN
SPIN話法は、以下の4つの質問で成り立つ提案を行うためのフレームワークです。
- Situation:状況質問
- Problem:問題質問
- Implication:示唆質問
- Need-payoff:解決質問
顧客の状況を明確化するための質問からはじめ、問題を確認し現状を把握します。
示唆質問の目的は、営業ヒアリングを通して、顧客に現状や課題を気づかせること。解決質問につなげるクッションになります。
そして、現状の課題や問題を解決してどんなゴールを目指したいかを、解決質問で明確化します。
解決質問により、自社製品やサービスの導入で、顧客にどんなメリットがあるかをアピールできるでしょう。
BANT
BANT条件は、法人営業で活用される商談成立の可能性を測るフレームワークです。
- 予算:Budget
- 決裁権:Authority
- 必要性:Needs
- 導入時期:Timeframe
製品やサービスを導入に充てる予と決裁権が誰にあるかの確認、顧客ニーズ、導入時期を確認するのに役立ちます。
BANTは法人営業に必須とされていますが、個人営業にも活用できるでしょう。
5C分析
5C分析とは、ビジネスモデルの分析に用いられます。
- Customer(顧客)
- Company(会社)
- Competitors(競合)
- Customer’s Customers(顧客の顧客)
- Customer’s Competitors(顧客の競合)
顧客と会社、競合と顧客の顧客など、5C分析の項目は営業ヒアリングにおいても重要です。
5C分析を活用することで、顧客に寄り添った提案の実現が可能になるでしょう。
営業ヒアリングのコツ・テクニック
それでは、営業ヒアリングのコツやテクニックについて解説します。
- 顧客を主語に話す
- 顧客の意見への傾聴を心がける
- 相手が頭でイメージできるように伝える
- 業界のホットな話題や他社事例から関連付ける
- 相手が回答しやすい質問をする
顧客を主体に話す
話をする際は、顧客を主体に話すことが大切です。
「弊社では……」と売り手側を主体に話してばかりでは、顧客に関心を持ってもらえません。
顧客を主体にすることで、相手の興味や関心を引き出しやすくなります。営業ヒアリングでは、顧客を主体に話すことを意識してください。
言葉遣いを顧客に合わせれば、共感を得やすくなります。
顧客の意見の傾聴を心がける
営業ヒアリングでは、顧客の意見を聞くとき傾聴を心がけましょう。
傾聴とは、顧客に寄り添い耳だけでなく、目や心も寄り添い話を聴くことです。また、聞き役に徹することも重要です。
自社製品やサービスをアピールするためとはいえ、一方的に話をしても顧客の心は掴めません。強引にアピールすれば、逆効果で顧客に警戒されます。
一方的に話すのではなく、聞き役に徹してください。そこで、ただ聞くのではなく傾聴するよう心がけましょう。
頭でイメージできるように伝える
営業のヒアリングでは、顧客が頭でイメージできるようにわかりやすく伝えてください。
どんなに良い製品やサービスだとしても、言葉だけでは伝えきれないこともあります。
説明の際は、イラストや動画を活用したり、事例を紹介したりするのも有効です。製品やサービスについて知らない人でも、イメージしやすいよう工夫しましょう。
業界のホットな話題や他社事例から関連付ける
営業ヒアリングでは、業界のホットな話題や他社事例に関連付けるのも有効です。
顧客の業界でホットな話題を盛り込めば、興味を持ってもらいやすくなるでしょう。他社事例に関連付ければ、話の流れを作りやすくなります。
顧客が興味を持ってくれれば、情報を引き出しやすくなり、潜在ニーズを引き出せるのもメリットです。
相手が回答しやすい質問をする
そして、相手が回答しやすい質問をすることも意識してください。
質問には、誰でも自由に回答できる「オープンクエスチョン」と、イエス・ノーの2択で回答する「クローズドクエスチョン」があります。
状況に合わせて質問を使い分けるといいでしょう。
営業ヒアリング能力を向上させるポイント
では最後に、営業ヒアリング能力を向上させる4つのポイントを紹介します。
- 営業研修を実施する
- 営業本を1冊は読む
- トップセールスに同行する
- 営業支援システム(SFA)を導入する
営業研修を実施する
営業研修の実施は、営業ヒアリング能力の向上に役立ちます。
営業研修は、営業活動の基本フローから成約につながるポイントも身につけられます。
中でも、営業ヒアリングにおいて重要となる、傾聴力や質問力など実践に役立つスキルを身につけられるのも魅力でしょう。
営業本を1冊は読む
営業本を最低1冊は読んでおきましょう。
営業本には、営業マンに必要な能力やスキルアップに必要なノウハウが集約されています。
営業は長期的に活かしやすいノウハウが多いでしょう。また、営業本は定期的に新しいものが発行されているので、自身のキャリアに合わせて選べるのもポイントです。
トップセールスに同行する
また、トップセールスに同行するのも有効です。
営業研修や営業本でもノウハウは学べますが、高い営業ヒアリング能力を持つトップセールスに同行すれば、実践を通して学べます。
もし可能であれば、同行でインプットした知識をアウトプットする場を設けてください。アウトプットにより、営業ヒアリングに必要な知識を着実に身につけられるでしょう。
営業支援システム(SFA)を導入する
営業支援システムは、営業活動をデータ化したものです。
SFA(Sales Force Automation)の導入により、営業ヒアリングを含む営業プロセスを可視化できます。
さらに、SFAにより営業活動が標準化されれば、社内で情報共有が可能になり業務効率化やコスト削減につながるでしょう。
なお、営業支援ツールについては、こちらの記事で詳しく解説しています。おすすめのツールも紹介していますので、ぜひぜひ参考にしてみてください。

まとめ:営業のヒアリング能力を高めて成約を掴み取ろう
営業ヒアリングは、営業活動において重要なステップです。
顧客のニーズを把握できていなければ、最適な提案はできません。営業ヒアリングを徹底して顧客ニーズを把握できれば、成約につなげられるでしょう。
本記事で紹介した営業ヒアリングの流れやポイント、能力を高める方法を参考に、成約件数アップを目指してください。