「CPaaSとはどのようなシステムを指している?」
「CPaaSの導入で期待できる効果が知りたい」
CPaaSとは、Communications Platform as a Serviceの略称で、APIを活用して通信機能をつなげるクラウドサービスのことです。
ビジネスシーンにおいて、企業は多様なチャネルを活用して、顧客との接点を増やす動きが活発化しています。
中でも、コールセンター業務でCPaasが注目を集めています。
では、CPaasは具体的にどのような点で注目を集めているのでしょうか。また、どのようなことができるのか気になるでしょう。
そこで本記事では、CPaaSで実現できる11個のサービスを紹介します。CPaaSの導入に悩んでいる方やコールセンターの顧客対応に取り組む方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
CPaaSとはAPIを活用して通信機能をつなげるクラウドサービス
CPaaSとは、APIを活用して通信サービスとバックオフィス関連のサービスをつなぐクラウドサービスのこと。「シーパース」といいます。
主な通信サービスは以下の通り。
- 音声通話
- ビデオ会議システム
- SMS
- プッシュ通知
- チャットボット
- 音声認識
上記のサービスとバックオフィス関連のシステムをつなぎ、コミュニケーションにかかわる機能を多数揃えているのが特徴です。
そもそもAPIとは
APIとは、Application Programming Interfaceの略称であり、ソフトウエアやWebサービス、プログラムの間をつなぐインターフェースのことです。CPaaSには、APIが欠かせません。
インターフェースとは、何らかの境界面、接点のことを指し、異なる2つの間をつなぐ役割のことを指します。
例えば、パソコンのディスプレイとマウス・キーボードなどが挙げられます。
APIの活用により、既存のソフトウェアやサービスの機能を、新しいアプリケーション内で再利用できるため、開発が効率化され容易に機能を拡張できます。
UCaaSとの関連性
UCaaS(ユーキャス)は、Unified Communications as a Serviceの略称であり、電話、ビデオ会議、チャット、メールなどの手段を一元化してクラウド上で提供するサービスのことです。
CPaaSとUCaaS、いずれもクラウドでのサービスであり、関連性が深いです。
CPaaSは、APIを育てるコミュニケーション機能を組み込み、自由にカスタマイズできます。
一方、UCaaSはひとつの統合されたプラットフォームとして提供されることが多いです。
CPaaSが注目されている背景
近年、デジタル変革が進む中で企業は、顧客との接点を多様化かつ、最適化しようと試みます。顧客側もWebサイトのフォームやメール、電話などあらゆるチャネルにより、企業とのかかわりが増えました。
企業と顧客の接点を強化するためにCPaaSが必要であり、CPaaSを活用すると多様化するコミュニケーションに柔軟に対応できます。
しかし、多様化するチャネルに対応しようとするほど、ITスキルが必要であり、おのずとコストは増大します。
そこで、CPaaSを使うと、独自の通信基盤をゼロから構築する必要がなく、簡単に通信機能をアプリやウェブサイトに組み込めます。専門的なスキルがいらず、開発コストの削減を実現できます。
このような背景から、CPaaSが注目され、導入を検討する企業が増加しています。
CPaaSを導入する7つのメリット
次に、CPaaSを導入する7つのメリットを紹介します。
- システム構築の手間を削減できる
- コストを削減できる
- 業務の効率化と生産性の向上に期待できる
- 顧客満足度の向上が期待できる
- 柔軟にカスタマイズできる
- 円滑化な顧客とのコミュニケーションを実現できる
- セキュリティを強化できる
システム構築の手間を削減できる
独自の通信基盤をゼロから構築する必要がないため、導入のスピードが大幅に短くなります。APIを通じて簡単に通信機能を組み込むことが可能となり、システム開発や運用の工数を削減できます。
また、社内にITスキルが高い人材がいる場合は、不必要なリソースがかかりません。ほかの業務に割り当てられるなど、業務の効率化にもつなげられます。
コストを削減できる
既存のシステムに機能拡張できるため、新たな開発を必要としません。これはコスト削減にもつながります。
従来型のオンプレミスであれば、ハードウェアの購入や運用、専用の機器、メンテナンスコストなどが発生します。
しかし、CPaaS はクラウドベースであるため、月額利用料金の支払いのみで済みます。初期費用や維持コストを大幅に削減できるため、コストを抑えられるでしょう。
業務の効率化と生産性の向上に期待できる
CPaaSを導入すると、同一のシステム内でさまざまな機能を活用できます。
情報伝達や業務プロセスなどが効率的になります。これにより、業務の生産性が向上し、より迅速な顧客対応が可能となるでしょう。
顧客満足度の向上が期待できる
CPaaSの導入により、コミュニケーション手段を多様化できれば、ニーズに応えた対応が可能です。
例えば、コールセンターにいて最初の対応をチャットボットや自動応答システムなどを活用できれば、顧客が自身で解決できるようなWebサイトやFAQに誘導できます。
対応チャネルを増やすことで、顧客はスムーズに問題解決できるため、顧客満足度の向上につながるでしょう。
柔軟にカスタマイズできる
CPaaSは、APIを活用したサービスであるため、必要に応じて機能をカスタマイズできます。機能の追加や削除、設定の変更を容易にできます。
企業のビジネスニーズや顧客の要望に合わせて、機能を最適化できるでしょう。
円滑化な顧客とのコミュニケーションを実現できる
コミュニケーションの多様化が進んでいる中で、WebサイトやSNS、メール、電話などどの手段を選択するのかは顧客によって異なります。そのため、顧客とコミュニケーションを円滑に進めるためにはすべてのチャネルを取り入れ、管理しなければなりません。
CPaaSを活用することで、多様なチャネルでコミュニケーションを円滑にできるでしょう。
セキュリティを強化できる
多くのCPaaSプロバイダーは、データの暗号化などによりセキュリティ面の安全性を担保できます。サーバー攻撃などを防ぐことで情報流出を避けられます。
セキュリティ対策が万全であることは、顧客にとって安心できる情報のひとつといえるでしょう。
CPaaSの活用で実現できるサービス11選
それでは、CPaaSの活用によって実現できる11個のサービスを紹介します。
- コールセンターの運営
- 多要素認証クラウド
- SMS送信
- コールバッククラウド
- 来客時の不在連絡
- 会議室の自動予約
- 飲食店や病院などの順番待ち呼び出し
- システム障害の検知と通知
- 医療・介護現場におけるアラート通知
- AIボイスメール
- プライバシーを考慮したコミュニケーション
コールセンターの運営
CPaaSの活用によりコールセンターの運営を実現できます。
新しくコールセンターの運営を始めると、設備や人材、システムの構築などあらゆるコストと手間がかかります。そのため、導入のハードルは高いと言えます。
しかし、CPaaSを活用すると、自動応答システムや転送機能などを備えたコールセンターの運用が可能です。顧客のニーズに合わせて機能を追加できるため、効率的に運営できるでしょう。
多要素認証クラウド
多要素認証クラウドによって、不正アクセスやサイバー攻撃を防ぎます。
その理由は、CPaaSを活用すると、パスワードやIDだけではなく、電話やメール、SMS送信を組み合わせた認証が可能となるためです。
個人情報の流出やアカウントの不正利用を防げるでしょう。
SMS送信
SMS送信により、多くの顧客にメッセージを届けられます。
SMSは、開封率や到達率が高いとされています。NTTコムオンラインが実施したSMS送信の調査によると、確認される割合が非常に多いことがわかるでしょう。
- SMSを開封して内容を「必ず確認する」:51.74%
- SMSを開封して内容を「たまに確認する」:42%
- SMSを開封して内容を「確認しない」:4.69%
- その他:1.57%
参照元:NTTコムオンライン
SMS送信は、開封率が高いため、あらゆるマーケティング活動に役立てられます。
コールバッククラウド
休日や夜間など営業時間外の問い合わせに対して、自動応答システムで対応し、後日の折り返し電話の予約ができます。
企業にとっては、顧客への営業などの機会損失を防げるでしょう。
来客時の不在連絡
CPaaSを使用すると、来客があったときに担当者が不在の場合でも、自動的に連絡し、担当者に通知システムを構築できます。
例えば、担当者がいなくても留守番メッセージを送ったり、ほかの担当者に自動転送できたりなど、来客不在時の連絡にも役立つでしょう。
会議室の自動予約
会議室など企業内の施設の利用状況を確認し、利用可能な時間を見つけて自動で予約する機能を付与できます。
また、会議のスケジュールが変更された場合には、自動的に他の利用可能な会議室を予約する機能も追加できます。
飲食店や病院などの順番待ち呼び出し
飲食店や病院などにおいて、CPaaSのSMSやメール機能と連携すれば、通知サービスの利用が可能となります。
つまり、長時間その場でじっと待つ必要がありません。待ち時間を自由に過ごせるため、ストレスの軽減につながり、顧客満足度の向上につながるでしょう。
システム障害の検知と通知
監視システムと連携し、サーバーやネットワークの異常を即時警告します。システム障害が発生した際には迅速に対応しなければなりません。
関連する部署や担当者へ迅速に通知することで、システム障害を早期に解決できるでしょう。
医療・介護現場におけるアラート通知
医療・介護の現場においても、CPaaSの活用が広がっています。
患者さんの体調が変わった際にセンサーが感知しすぐにスタッフに通知できます。ほかにも、機器の異常や薬の投与時間など、多様なシーンでのアラートを一元的に管理できます。
医療や介護の現場においては、人手が不足しているため、有効活用できれば患者さんの安全を守るのに役立てられるでしょう。
AIボイスメール
自宅や会社の留守電をまとめて確認でき、内容をテキストで表示できます。
そのため、バスや電車の乗車中など、音声での確認が難しいときにも内容を把握できるでしょう。
プライバシーを考慮したコミュニケーション
CPaaSを活用して、ユーザー同士の通信内容を匿名化し、プライベートな情報を保護しながら通信できます。
例えば、マッチングアプリやフリマアプリなどでの安全なコミュニケーションが実現できます。
CPaaSの代表的なサービス3選
では最後に、CPaaSの代表的な3つのサービスを紹介します。
- Amazon Connect
- Twilio
- Vonage
Amazon Connect
運営会社 | アマゾン ウェブ サービス(AWS) |
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料金 | 音声 受診通話音声使用(1分あたり):0.018ドル 発信通話音声使用(1分あたり):0.018ドル チャット使用料(メッセージ1件あたり):0.004ドル タスク(1個あたり):0.04ドル 最適化:スケジュールを受け取るエージェント(1人あたり/月):27ドルなど |
主な機能 | CTI PBX 録音、分析機能 通話録音など |
Amazon Connectは、アマゾンウェブサービス(AWS)が提供するCPaaSです。
コールセンターにおいて重要な機能を、専門的なスキルが必要なく、気軽に導入できます。例えば、音声通話や自動応答システム、チャットなどの機能を利用できます。
音声品質の高さにも期待できるサービスです。
Twilio
運営会社 | Twilio |
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料金 | Twilio Segment:月額120ドル~/訪問者数の上限は月1万人14日間の無料使用
Twilio Flex:5,000時間まで無料。1ドル/1アクティブユーザー1時間、または150ドル/指定ユーザ(1ヶ月あたり) SMS:メッセージの送受信は0.0079ドル~ 会話:0.05ドル/アクティブユーザーあたり(1ヶ月あたり)など |
主な機能 | 音声通話 メッセージング(SMS/チャット) Eメールなど |
Twilio は、CPaaS市場の先駆けとも言えるサービスで、SMS、音声、ビデオ通話、チャットなど、多彩な機能が搭載されています。
企業のニーズに合わせてさまざま機能を選択できるので、小規模の企業でも導入しやすいといえるでしょう。
Vonage
運営会社 | Vonage Japan合同会社 |
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料金 | Voice API:0.0127ユーロ/分 Verify API:0.0500ユーロ/分 ビデオAPI:0.004ユーロ/分 アプリ内音声: 0.004ユーロ/分など |
主な機能 | 音声通話 メッセージ送受信 ビデオ通話 SMSなど |
Vonage(旧Nexmo)は、Twilioと同様に多様な通信APIを提供するCPaaSサービスです。
特に、ハイクオリティな音声通話やビデオ通話機能が強みであり、企業のカスタマーサポートやリモートワークでの利用が増えています。
さらに、VonageはAIとの統合にも力を入れており、自然言語処理や音声認識を用いた先進的なコミュニケーションの提供を実現しています。
まとめ:CPaaSの有効活用で業務効率化と顧客満足度向上につなげよう
CPaaSは、APIを活用して通信機能をつなげるクラウドサービスのことです。多彩なコミュニケーションの機能を備えています。
導入すると、コストの削減はもちろん、専門的なスキルを必要とせず、コミュニケーションを活性化させられます。
CPaaSを有効活用し、業務の効率化と顧客の満足度向上につなげましょう。